初めて描いた油絵
小学生の頃は絵を描きに近くのお寺に行って友達と写生を楽しみました。紅葉した大きなイチョウの木を描いたり、また、田んぼに行って上毛三山の一つ裾野の長い榛名山を描きました。しかし、その後はバスケットボールに夢中になり芸術からは遠ざかりました。でも、そのお陰で身長は伸びたようです。
絵はその後、暫くの間ご無沙汰してましたが、インド滞在中、ガンジス川に比較的近くて私の住まいから5分位の所にあった【ヴィクトリア・メモリアル】という大理石の大きな建造物の堂々とした力強さ、美しさ、神秘性を感じ、ついに日曜日キャンバスを持って恥じを偲んで境内の芝生の上で描き始めました。この建物はヴィクトリア時代の記念建造物です。
ここはカルカッタの人々の憩いの場とあって、恋人や家族連れがゆったりと寛いでいるではありませんか。描き始めた私の後ろには瞬く間に黒山の人だかりができ、皆、興味津々に何やら言いながら見ていていつまでも離れないのです。日本では描いたことがなく、生まれて初めてここで油絵を描いているのに、このような状況となり、そこから逃げ出せなくなりました。彼らは私がインド人でないことは分かっていて珍しかったのでしょう。筆を動かす度ごとにベンガル語があちこちから聞えてくるのです。自信のない私の手は困り果てました。でも、大方が出来上がるまで精神的重圧を我慢し2時間ほど続けました。
私の2人の娘は生まれてこのかたずっと家に飾ってあるこの絵を見ています。近年、次女は学校の研修旅行でついにカルカッタを訪問し、彼女の目でこの「ヴィクトリア・メモリアル」を見てきました。父が青年時代を過ごした「異郷の地」に立った時、娘の気持ちはどのように映り揺れ動いたのでしょうか。
高崎駅前の「どんどん」に2人で行った時にでもゆっくり聞いてみたい。生涯でたった一枚描いた油絵は私の宝となって、今でもピアノのすぐ近くに飾ってあります。
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