観客でただ一人の日本人
私の最初の赴任はインド・カルカッタ日本人学校です。渡印は4月初めで日本ではまだまだ寒かったです。しかし、現地はすでに真夏で夏休みが目前で、この時期の温度は午前11時で42度ありました。
このような暑い日々は植物園に行って涼しい日陰で過ごしたり、プールで泳いだりベンガル湾で海水浴しました。
2年間のインド滞在中、職務の他に何か新しいことを学びたいと思っていました。インド音楽に接したり、見るもの聞くもの何でも目新しいことばかりでした。
私は学生時代、指揮法を学んでいた関係で、世界的インド人指揮者ツービンメーターさんもおられることから、カルカッタで指揮を学ぶ機会はないかと内心考えていました。Where there is a will, there is a way.「精神一倒何事か成らざらん」チャンスはやってきました。
インドでは9月から2月までの半年間は素晴らしい気候が続きます。暑くも寒くもなく毎日良く晴れわたります。この時期にカルカッタ交響楽団の定期演奏会があり、私は毎回聴きに行きました。常に一列目で聴いていましたので楽団員の方々にも「一人の日本人がいつも来てる」と知られてしまい、コンサートマスターの方はステージの上から私に会釈を送ってくれるようになりました。
ところで、この交響楽団はイギリスの影響でしょうか、古い歴史を持ってます。私の滞在中はユダヤ人指揮者Bernard Jacobさんが常任でした。毎回の演奏に感銘を受け、聴きに行ってるうちに私は彼の弟子になりたいと心が動き出し、ついに日曜日にお宅を訪問し、学生時代に指揮を専攻してたことやカルカッタ交響楽団の定期演奏会を毎回聴かせていただいてることを玄関から出て来られた奥様に告げたところ、何とその日にヤコブさんに対面できました。
彼はオクスフォード大学ご出身です。いつも演奏を拝聴しているお礼を述べ、ぜひ指揮を教わりたいとお願いしましたところ、一つ返事でのOKはありませんでした。しかし、卒業演奏会で指揮したことのある「モーツアルトの魔笛序曲」の振り方を見ていただきましたらGood, Goodと仰ってくださり、次回はシューベルトの未完成がレッスンの曲と決まり、念願が叶い、ついに彼の弟子にさせていただけました。
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