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2007年3月22日 (木)

先人の知恵

 昔の佇まいを呈する武家屋敷跡を見学してきました。小幡には江戸時代の名残があります。このようなところをゆっくり散策するのは心が落着くものです。

 平成元年から6年間、勤務地が富岡市内でしたので毎日近くを通過してましたが、忙しさもあって途中で見学する気持ちの余裕はありませんでした。同僚と4月に満開の桜の下で一杯飲んだ思い出だけはあります。お酒の魅力の方が大きかったのか。

 今回、彼岸の入りに際して摩崖佛を礼拝しましたが、その折ゆっくり小幡を見学したいと思い、近くに散在する武家屋敷跡を見て回りました。

 私は昔のものを見学する場合、当時の方々のそれを建築した思い、危険回避の工夫、目的遂行の知恵に着眼したいのです。各箇所に必ず工夫が見られます。しかしながら、戦乱の世にあってもあくまで芸術的な趣、格式、威厳を示す工夫が感じられホッとします。

 写真のように屋敷の基礎として石垣が周囲を取り巻いてます。セメントのない時代ですから大小の石を方々から人間戦術で集めてきたのでしょう。あるいは現在のセメント工法より雨風に対する風化が防げるように感じます。積み重ねによる紋様は味わいがあり、重量感や松など植え込みから来る風情は武家屋敷の格式と威厳に通じるようです。

 写真左は内部に入るにわざわざ曲がって出入りする仕組みに石垣が積んであります。直接内部を見られないためや、武士が通過する場合、身分制度による下の者の隠れる位置、あるいは突発的な外部からの攻撃に対する防衛のためかと想像できます。

 この石垣の構造を知るだけでも当時の不安定な世の中、厳しい上下社会の成り立ちがリアルに迫ってきます。

 人類誕生以来の歴史から見れば、江戸時代は昨日のような時間です。基本的にこの時代も今の世も厳しさは不変です。常に不安と安堵が行き来し、どちらかと言えば不安定な世の中であり、先行き分からない気持ちが大でしょう。今の時代も生きていくのは容易なことではありません。お互い心を通わせ、助け合い、つながりを持って人間らしく生きていきたいものです。

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