魅力あるクラシックサックスの音色
ベルギーのディナン市にはアドルフ・サックス通りがあります。この通りは19世紀初頭に生まれたサックス発明家アドルフ・サックスに因んで命名されたのです。
この楽器の音色に魅せられ、私が始めたのは17才の時です。初めはテノール、その後、暫らくアルトに転向。現在はソプラノのみ演奏します。知る人ぞ知る日本クラシックサックス界のパイオニア故・阪口新氏について学びました。氏は世界的巨匠マルセル・ミュールのレコードを時たま聴かせてくださり、エチュードはこれまたマルセル・ミュールの執筆によるものです。
http://www.youtube.com/embed/09zb6nogS-g
田舎にいてはサックスといえばジャズと結びつく認識だけでしたが、本来は楽器の中でも表情がかなり豊かで、卓越した演奏家による音色は音楽のあるべき理想的表現を有してるように感じます。また、現代の作曲家・木下牧子さんがクラシックサックスの魅力に感銘された話は有名です。
時代が進み、現在では世界はもちろん日本でも世界的クラシックサックス奏者が生まれ、この楽器のステイタスはかなり知られるようになりました。
前述のように楽器が発明されたのが遅いため、18世紀や19世紀中頃までの大作曲家には作品がありません。
それでもこの楽器の価値を見出したロマン派のビゼーは名作「アルルの女」の中で、前奏曲や間奏曲にアルトサックスの独奏を取り入れ大成功を博しています。ご存知の通り、ラベルの「ボレロ」ではソプラニーノやテノールがソロを受け持ち、ムソルグスキー作曲、ラベル編曲の「展覧会の絵」では「古城」でアルトが歌曲風でしみじみした旋律を奏でます。
20世紀になって、フランスやロシアの大作曲家を中心にコンチェルトが作曲され始め、この楽器のクラシック音楽界への存在が次第に浸透してきました。中でも傑作中の傑作はイベールの協奏曲とグラズノフの協奏曲でしょう。国内外のコンクール課題曲になったり、演奏会で聴く機会が多くなりました。また、ヒンデミットのソナタは、これまたサックスの持つ表現力を遺憾なく発揮した名作でしょう。殊に第一楽章のゆっくりした旋律は、この楽器の持味である音色が心を十分に満たしてくれます。
ところで、サックスによるチゴイネルワイゼンの演奏には驚きました。
http://www.youtube.com/embed/iWwWEyvPrgQ
一般的には特に地方では、クラシックサックスを鑑賞するチャンスはまだまだ少ないです。これは奏者が少ないからでしょう。それでもポスターをよく注意されますと時々リサイタルがあります。
本日は午後7時から高崎市コアホールにて女流サックス奏者による演奏会があります。暫らくぶりにクラシックサックスの音色に浸れるかとワクワクしてます。その後、高崎駅前「どんどん」で余韻を楽しめたら極楽ですね。「こらっ、カッキー、また行くのか」と聞えてきそうです。
| 固定リンク
「My Soprano Saxophone」カテゴリの記事
- 今夜です。サクソフォーン協奏曲の演奏(2021.01.17)
- ラーション作曲「サクソフォーン協奏曲」(2021.01.16)
- 声楽家のような豊かな表現を求める(2020.01.17)
- ソプラノサックスのための朝ドラ「スカーレット」楽譜(2020.01.15)
- 楽しみなサクソフォーンアンサンブル!!(2020.01.11)
コメント