4羽のレース鳩を荒船山頂から放す
朝6時に家を出て長野・群馬県境に聳える荒船山(標高1423m)へ向かいました。同行者はサミュエル・ドットさんと4羽のレース鳩です。8時15分頃から登り始めた山道は初めは歩きやすかったが、思わぬところに台風9号の爪痕が見られ、大規模な土砂崩れのため頂上への道が寸断された危険な状況で、引き返すことも検討したほどです。
それでも危険な道無き道をロープを使って迂回し、4羽のレース鳩を入れた欧州籠を持って滑りやすい岩盤の難所を通り過ぎました。馬の背の ように左右が絶壁の所が何度もありハラハラですが、持って生まれた責任感(?)からか、どんなに滑りやすい危険箇所であってもレース鳩の籠を手から離すことはありませんでした。
このため、予想以上に時間がかかり、断崖の上にある艫岩(ともいわ)に到着したのは11時でした。写真左、私の後ろは足がすくむ200メートルほどの絶壁です。レース鳩をここから飛ばせば飛ぶ姿がよく見えると思ったのですが、より高い位置がいいと思い、結局、ここから更に南に位置する行塚山山頂まで頂上台地を、また1時間歩き、またもや急勾配の難所です。それでもやっとのことで行塚山山頂に着きました。時たま登山客から質問され、「何がその籠の中に入ってるのですか。」と訊ねられましたが、その度ごとに「レース鳩です。」と答えました。皆さん、驚いた様子でした。
あまりにも歩いたので腹ぺこぺこ。頂上では、おむすびやサミュエルさんの作ってく れた温かいラーメンを頂きながら、籠の中で揺れてきた鳩たちを休ませました。
4羽のレース鳩はいずれもレース経験鳩で、距離900Kある北海道・羽幌から翌日我が家に帰還した「ブラック号」を始め、ゴールデンベル孫など俊鳩ぞろい。行塚山山頂は樹木に覆われて飛ばし難い環境でしたが、1羽ずつ木々の間から放しました。木々を通り抜ければ、そこは海抜1400m以上の高い空、次々に放したので一緒に飛んで行きました。
もしかして荒船山艫岩の南に聳える行塚山山頂から鳩を放したのは多分私が初めてでしょう。この4羽はすべて2週間前の四阿山(あずやまさん)から放した鳩なので今回は比較的簡単に我が家への帰還が予想されました。それでも、山岳地帯は鷹など猛禽類の棲み家、きっと猛スピードでそれらの追撃をかわし、人間には分からない命がけで、生まれ故郷の倉賀野へまっしぐらに飛翔したのでしょう。
今回の荒船山は台風の爪痕で思いの他、荒れた登山道に苦労しましたが、籠を持っての合計7時間の山登りにはさすがの私も疲労困憊となりました。帰路に「荒船の湯」で疲れた足を休ませました。凄くいいのんびりした日帰り温泉でお薦めです。露天風呂でサミュエル・トッドさんと一日を振り返り、笑いの中に苦労が飛んでいきました。なお、4羽のレース鳩は無事に我が家に帰還してました。この4羽は来春、親鳩として卵を産ませ北海道から帰る選手鳩の育成をめざします。
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