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2008年2月10日 (日)

列島を縦横に飛翔するレース鳩たち

 建国記念の日にふさわしく2月11日の朝は推定20万羽以上のレース鳩たちが日本列島上空を縦横に飛び交います。

 関東以西を根拠地とするレース鳩の多くの連合会や支部は北から南へ向けて鳩を放します。特に関東地方の連合会や支部では福島県や宮城県あたりから南へ向かって放し、一方、北海道及び東北地方の連合会や支部のレース鳩は南へ運ばれ、逆の方向である南から北へ向かって放されます。

 このため目的地が相反する大集団同士が上空で騎馬戦のように向かい合い、乱気流に巻き込まれたように激しく揉み合いになり、これが原因で帰還率に悪影響がでることは大いにありうることでしょう。

 これに反し、鳩レースの本場であるヨーロッパでは上空でレース鳩同士が反対方向に飛び交ったり、レース鳩の集団と集団が衝突するようなことは少なく、イギリス、オランダ、ベルギー、フランスなどの国々の多くのレース鳩たちは南へ運ばれ、同一方向である北へ向かって飛翔します。

 最終的に分岐点があっても、大集団が同一方向に向かって放されることは日本にない羨ましいことで、特に長距離レースになるとフランス南部のポーやペルピニャン、サンバンサン、スペインのバルセロナなど著名な放鳩地から大羽数がすべて北に向けて飛ぶ国際レースが実施できるのです。

 しかも、日本と異なるもう一つの点は鳩たちが高緯度を飛びます。放鳩地として最南端であるバルセロナでさえ緯度は日本の青森県の位置です。そこから1000K以上、北へ向かって飛ぶことになります。レースの行なわれる夏季は日本より日没時刻が遅くなり、日の出時刻が早くなり、鳩にとっては好都合でしょう。

 日本では、飛んでる最中、反対方向から飛んで来る大集団と向き合ってしまったり、その場合、もろに影響を受け、方向判定が狂うことは大いにありうることでしょう。

 実際、私が目にしたことですが、栃木県の鹿沼市に50羽ほどの個人訓練に行ったときのことです。鳩を放しましたらぐんぐん舞い上がり、かなりの上空に達し、私の家の方向である南に進路が定まり、やれやれと思ったのも束の間、2分ほどしたら、驚いたことに横一線に並んだ50羽ほどの集団が反対方向である北へ向かって飛んで来るのです。

 集団と集団は全面衝突。すべての鳩は10秒程もみ合い状態になりました。その後、それぞれ自分たちの目指す方向へと再び進路をとったのです。家に帰ってきましたら見慣れぬ鳩たちが大屋根にとまっていました。きっと私の鳩たちと一緒に来てしまったのです。私の鳩も2~3羽いなかったので、東北地方へ連れて行かれた可能性があります。

 ヨーロッパは丘は続いても概ね大平原。日本はどこもかしこも山また山の連続で、レース鳩にとって地形は苦難の連続でしょう。

 この上、日本のレース鳩にとっては最近増加した猛禽類の追撃も加わり、上記の二点を考え合わせると、故郷である鳩舎へ帰還するには私たちの想像をはるかに越えた困難が待ち受けてると考えられます。

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