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2008年4月10日 (木)

愛の逃避行により生まれた名曲

 春は天気が変わりやすく暖かくなったり雨が降ったりします。今日はあいにくの雨。こんな日はショパンの「雨だれ前奏曲」が似合います。

 この曲には不思議なことがあります。それは全曲を通して低音部にラが半音下がった音が規則正しく響き、雨だれを表現してます。一般的に自然界の音はラの音に近いといわれ、ショパンはそれを更に半音下げていっそう憂鬱な雨の音らしくしたのでしょう。その雨足のリズムに乗って高音部は比類なき甘く哀しい旋律を奏でます。

 ところで、母の国ポーランドで生まれたショパンは20才頃、父の国フランスに渡り、39年の生涯を祖国ポーランドに帰ることがなかったといわれます。それは祖国が戦争に巻き込まれていたからと考えられます。有名な練習曲「革命」はワルシャワ陥落の報に接し、絶望のあまり、祖国に対する愛国心から作曲したと伝えられています。

 ショパンはパリのサロンでピアノ演奏してましたが、そのとき彼の名演奏に惹かれたのがフランス女流作家ジョルル・サンドでした。二人は急激に接近し愛を誓うようになったようです。

 華やかなフランス社交界のゴシップに耐えられない二人はついに地中海に浮かぶスペイン領マジョルカ島へ愛の逃避行となり、一冬を温暖な地で幸せに過ごし、滞在中に生まれたのが24のプレリュード(前奏曲)で、その第15曲目が「雨だれ前奏曲」です。

 ある日のこと、恋人サンドが外出中に豪雨となり、ショパンはサンドの身に何か起こったのではないかと不安になり、強い雨足の中、いつまでも帰らぬ彼女を案じ、心配でたまらない気持ちを音楽で表現したのでしょう。全曲にわたって彼女を案じる気持ちがこれでもかと滲み出ています。そして、ついに帰ってきたのです。

 曲の形式はABAの三部形式。特にBの部分は激しい雨の中、暗くなってもなかなか帰らぬサンドへの心配な想い。それは危険な道を一人歩くサンドの足取りのように表現されてます。再現部のAは彼女がやっと帰ってきたショパンのこの上ない安堵のようです。

 偉大な芸術は愛から生まれると聞きますが、この「雨だれ前奏曲」はまさにそのように思われてなりません。

 きっと愛のない芸術などないのでしょう。

 サロンでのショパンの名演奏にサンドが胸を打たれたように、までいかなくても、、私の弾く「雨だれ前奏曲」を聴いて、心に幸を感じてくれる方が現われるでしょうか。

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