朝4時半に起床、レース鳩の訓練に挑む
レース鳩を飼育してこのかた半世紀。小学生のときから学校へ行く前に、餌と水をやり、日曜日には自転車に鳩を積んで隣町から放すことに喜びを感じてました。時には、鳩が家とは逆の方向へ飛んで行ってしまい諦めざるを得ない心境、鳩に対して悪いことをしてしまったと子供ながらに反省したものです。しかし、家に帰ってみると鳩たちは何もなかったような顔で先に着いてました。幼かった日の驚きが忘れられません。
それ以来、鳩の帰巣性に神秘を抱く少年は、人生のほとんどをレース鳩とともに明け暮れています。鳩が大好きであった小学生のときの気持ちと、現在のレース鳩に対する心境に何ら変わることはありません。今でもレース鳩の帰巣性には畏敬の念を持ち続けています。
昨日は朝4時半に起床。放射冷却で11月の夜明け前は冷え、上空は満天の星。オリオン座や冬の大三角形が暗黒の宇宙に輝いてます。
これは千歳一遇のチャンスとばかり、早速、鳩舎に行き、暗いうちに選手鳩すべてを放鳩籠に詰め込みました。暗くて鳩は逃げられず、すぐに掴まります。
鳩を籠に詰めて車に積むには体力が要ります。鳩を入れた籠の目方は15㌔ほどでしょう。それを6籠、鳩舎の二階から下ろし車に積むのはいい運動です。近所の方々は安眠中、音を立てるわけにいかず、抜き足差し足です。
出発は5時30分。訓練距離は約12キロ。一人暮らしのため見送ってくれる人はいません。【涙】
途中、いつものようにコンビニで温かい飲物とサンドイッチなど現地で食べる朝食をゲット。レース鳩を積んだ車は日の出前の暗い道を一路、赤城山南面に向かいます。上り坂であってもホンダアクティー四駆は機動力を発揮、鳩友「はとさん宅」の北東に位置する広大な田んぼに到着。日の出前は寒く、辺りはまだ薄暗い。
放鳩籠を8個並べ、ラジオを聴きながら早速、温かい朝食。鳩を放すまでの時間は結構楽しいものです。
心の中で、あの人はまだ眠ってるかな、と想いを巡らしたり、こんなのどかな場所で、ゆとりある時間を味わわせて上げたいなどと思ったりします。帰宅時間が9~10時の仕事からたまには解放させてあげたい。
そんな空想に浸っていると、突如、野良猫の登場。籠の方を狙ってるのです。車から飛び出て追払いました。しかし、暫らくすると魔物はまた来ました。仕方なく今度は石を投げて威嚇。大空では天敵・猛禽類に狙われ、地上では猫に狙われるレース鳩の宿命か。人間が守ってやれるのは猫に対してだけです。
いよいよ放鳩予定の6時半。一斉に籠の出口を開きました。一度経験してるため今度はすべてが籠から飛び立ちました。もの凄い羽音を立てながら舞い上がり、集団となって紺碧の空へ吸い込まれます。
この瞬間が最も不思議です。もうすでに方向判定してるようで、旋回らしいことはしません。籠にいる間に方向判定を済ませたようです。私の家の方向である西南の空へ向かいます。何と素晴らしい本能でしょう。
私たち人間は見知らぬ土地へ連れて行かれれば帰れません。レース鳩は北海道へ連れて行かれても、自力で津軽海峡を飛び越え、その日のうちに群馬まで帰還する能力に感嘆この上もありません。帰巣本能は人間よりはるかに優れ、レース鳩を飼育する喜びはここにあります。
昨日の訓練は2回目であってか、鳩たちは私より先に到着してました。屋根で羽を休める鳩たちは「遅かったね」という顔をして私の帰りを迎えてくれました。
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コメント
鳩の帰巣本能?・・・素晴らしいですねェ~!
長年、拘って飼育された賜物?でしょうが、年間365日、気の抜けない御世話、大変なんでしょうねェ~!感心・感動の世界ですねッ!
そのうち、ツルならぬハトの恩返しがあるやも知れませんねェ~♪
投稿: 花舞 | 2008年11月 7日 (金) 00時44分
花舞さま
多くの趣味は気の向く日のみしてもいいですが、動物を飼育することは年中無休です。しかも、100羽ほどのレース鳩ともなると、飼い主も鳩中心の生活になります。朝晩の餌と水を切らしたらかわいそうです。
レース鳩は時々、水浴を好みます。気持ち良さそうに浴びるので、世話のやり甲斐があります。12月末から会の訓練やレースが始まりますので、それまでに調子を上げなくてはなりません。
何と言っても、大空を飛び、育ったところへ帰ってくるのですから可愛いものです。良い成績を取ると、名前をつけてやります。
投稿: カッキー | 2008年11月 9日 (日) 19時30分