中央中等教育学校オーケストラに深く感銘
この春、全学年がそろい6年制の中等教育学校として完成した群馬県立中央中等教育学校オーケストラの定期演奏会を聴き、その実力と理想的な姿にあまりにも感銘を受けました。
県内では初めて公立の中高一貫校として発足し、同時にオーケストラ部が創部され、今回ですでに5回目となる定期演奏会です。
ステージを拝見して、まず驚いたことは88名という部員数の多さです。今回は1年生が加わっていないので、実際には100名からの部員数でしょう。中学生から高校生に至る生徒が「一つの学校、一つのオーケストラ」となって本格的に音楽芸術を追求する姿は、私の想像を超え、心に染み入る響きがありました。
まず、プログラムを見ただけで驚きです。今回の目玉はチャイコフスキーの白鳥の湖、及びショスタコーヴッチの第5交響曲「革命」。しかも、その響きは真似ごとでない本格的なものです。
同校の外国人指揮者の先生の指揮棒が降り、重厚な弦楽器の響きと共にオーボエの奏でる名旋律を聴いて、瞬時に感銘、これはもう気高く今までの学校スタイルから脱皮した見事なまでの教育がなされていると感じてしまいました。
なおも驚いたことに「革命交響曲」は全楽章を演奏。この難曲をショスタコーヴッチ独特の近代ロシア的な悲壮感を漂わせながらの演奏を成し遂げてます。特にチェロ・コントラバス・ファゴットなど低音楽器による悲痛なまでの叫びはもう中高生離れの表現です。
http://www.youtube.com/embed/AToOgRK49zs
若い中学生からこのような音楽芸術に演奏を通して接する姿には涙が出るほど感銘し、制度を改編した教育の可能性とは果てしないものであると肌で感じました。
一般論として、技術を競うコンクールと称し、他校と競争することが主たる目的となってる吹奏楽に比較し、目的にするのは、より高い音楽表現、本格的な芸術美への追求のみであり、何と崇高なる部活動であろう。何と理想的な青春時代であろうと、2時間半の演奏は私にとって、ただただ感銘の連続でした。
学校全体の取り組みはもちろん、若い生徒さん、多くの保護者、そして世の中全体が今までにない気高い教育を求めていると同時に、21世紀になり、このような教育は全国で着々と実践されつつあるのではないかと感じました。
中央中等はSuper English High Schoolの指定校。顧問の一人である指揮者の先生が英語圏出身であることは理想この上もなく、英語によるコミニュケーションが机の上の学習から離れて、平素の音楽練習や学校生活のなかで自然に培われ、語学教育の面でも画期的な教育を実践してる学校と認識できました。音楽と英語の統合です。
県内では桐生女子高校にオーケストラがあり、こちらも卓越した演奏を拝聴したことがとがあります。中央中等の場合、群馬県内で唯一中学生としてオーケストラに参加できる類まれな学校です。
これからの学校選択は偏差値のみに捉われず、子供たちにとって二度とない貴重な青春時代を送れる教育を主眼とした学校が選ばれる時代と感じました。
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コメント
公立での中高一貫教育の現状、恥ずかしながら掌握してませんでしたが、このような素晴らしい学校があるとは~!・・・改めて、カッキーさんは素敵な所に、お住まいだな~と、羨ましい限りです。
タイトル聞いただけで、ワッ!難しそう~と思いますが、プロであるカッキーさんの‘お墨付き’だから、マチガイナイ筈です!
カッキーさんも、オーケストラ益々の上達ぶりが楽しみですね~♪
投稿: 花舞 | 2009年4月28日 (火) 19時20分
花舞さんへ
暫くぶりに群馬音楽センターで学校の音楽会を聴きました。今回はかなり感銘しました。音楽が真似ごとでない本格的な響きでしたからです。
私も若ければ、このような環境で教育を受けたかったと思いました。中学生の年齢からオーケストラに加わわれるなどとは、感性を伸ばす上で、今後の人生にどれほどプラスになるか計り知れないと思います。
花舞さん、ゴールデンウイークは有意義にお過ごしください。私は新緑の群馬の山登りです。
投稿: カッキー | 2009年4月28日 (火) 21時50分
はじめまして、PJと申します。
私はカッキーさんに紹介していただいた写真に映っている生徒の一人です。
私たちの演奏をお聴きいただき、また高い評価をしてくだっさたことを大変うれしく思っています。
しかしもちろん反省すべき点も多々ありました。今後の練習で改善していきたいと思います。
今後も、私どもの定期演奏会に足を運んでいただければ幸いです。
投稿: PJ | 2009年4月29日 (水) 21時00分
PJさんへ
私のブログにアクセス頂き嬉しいです。演奏を拝聴し、貴校のシンフォニックな響きに感銘を受けました。反省すべき点と言われましたが、細かい点というより、私は全体像について、音楽の本格的な響き、高貴な響きを感じました。
また、練習時間を生み出し、皆さんの一致団結したご努力が実を結び、革命交響曲の全楽章を演奏されたことは若き日の金字塔です。このような高い取組に敬意を払います。
秋の演奏会に向かって、新たにどんな取り組みが始まるのか楽しみです。頑張ってください。
今後、益々質の高い学生オーケストラになっていくことを祈念しています。
私は小泉先生とは昔から知り合いです。よろしくお伝えください。
投稿: カッキー | 2009年4月30日 (木) 00時56分