旧暦の七夕・7月7日は必ず先勝
現在の七夕の時季は地方によって異なり、7月7日、8月7日そして旧暦(太陽太陰暦)の7月7日の3種類のようです。
この中で天文学的に正しい日と言えば断然旧暦の7月7日でしょう。今年は太陽暦(現在の暦)で8月26日です。
それは「七夕」のいうことば自体が月の満ち欠けで7日目の夕方に由来するからです。この晩の月は必ず上弦で北半球では右側が輝く半月です。夕刻6時ころ南にあっても時間と共に西に傾き、明るい部分が次第に下方になってお椀の舟のような形になります。
七夕は夏の大三角形を成す「ベガ」(琴座の一等星)を織姫星と呼び、それより南に位置する「アルタイル」(ワシ座の明るい星)を彦星あるいは牽牛星といい、この二つの星の間を天の川が流れているように見えます。
なお、白鳥座の「デネブ」は七夕に関して、二つの星の行動を眺めているだけの可哀想な星ですが、三角関係ではありません。日本の上空を白鳥の如く通過します。
七夕が太陽暦の7月7日では都合の悪いことがあります。この時期は梅雨の真っ最中で、二つの星はもちろん「天の川」も望めないでしょう。また、この時期では午後8時頃、大三角形は、まだ、東の空の比較的低い位置にあります。
しかし、不都合という点では、もっと大きな理由があるのです。太陽暦の7月7日は二つの星が午後8時頃に東の空にあっても、特に今年は近くに満月が輝いてます。これでは運良く晴れても、星座は見難い状況なのです。
太陽暦の7月7日を七夕とした場合、月の満ち欠けを一切考慮してません。このため、平地では殆ど毎年、織姫星と彦星そして天の川をはっきり見るチャンスは梅雨であることも含めて難しいと言わざるをえません。
明治6年に欧米に倣い旧暦から太陽暦に移行したとき、七夕は一般庶民の行事であったためか、太陽暦の7月7日は梅雨の最中になることに気付かず、その上、天文学上、最も大切な月の満ち欠けを一切考慮しないで、単純に7月7日という月日だけを受け継いだためと考えられます。
旧暦の7月のことを文月(およそ現在の8月)という由来も「七夕への想い」を詩歌にしたことによると考えられます。それは現在、短冊として残っています。
江戸時代と同じ天体の状況を考えれば、旧暦の7月7日、今年は8月26日が七夕として好都合となります。西に傾く月の位置がロマンチックな形となり、光度も理想的だからです。
「七夕のいわれ」については古代中国から入ってきたのでしょう。ある若い男女において【二人の結婚が楽し過ぎて】機を織ることが上手だった織姫は次第にサボり、機を織らなくなりました。また、働き者であった彦星も牛を追わなくなってしまったのです。現在の私にとっては何とも羨ましい限りです。
このため天帝は怒り、罰として2人を天の川を隔てて引離してしまったのです。2人にとっては互いに遠くに見えるだけのやりきれない日々。しかし、天帝は年に1度だけなら会ってもよいと許しを出したのです。7月7日の夕刻は2人にとってどんなにか嬉しく、まさに天にも昇る気持ちだったでしょう。
【この写真は昨年12月1日の金星・木星・三日月のランデブーです。イメージは旧暦7月7日の七夕にきっと似てるでしょう。】
前述の通り、七夕では月の満ち欠けで上弦の7日目が【ミソ】です。西の空に傾いた半月を小舟に見立て、織姫が天の川を渡ったとなると、現代と違って星空がきれいな江戸時代にあっては、二つの星と半月(小舟)を一般庶民は天に描かれた壮大な絵巻と捉えたのでしょう。
一般庶民は、再会する織姫と彦星の姿を年に一度の大ロマンスと捉え、大空の「矢切りの渡し」に、きっと、現実の我が恋をダブらせ涙したのでしょう。ところで、旧暦の7月7日は毎年必ず先勝です。恋も先勝か。
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またまたカッキーさんの詳しい天体講座、楽しく拝見しました~♪
今夜のミルキーウェーイにワクワクですが~昨夜からの月明かり・・・複雑ですネ!
随分、昔に久住山の宿から眺めた‘白鳥座’鮮明に覚えてます。
仰せのように、梅雨・街灯りなどの環境で今の時代、難しい事なのでしょうね~・・・
でも、今宵は乙女チックに夜空に向かって「星に願いを~・・・♪」託してみたいですね~(*^_^*)
投稿: 花舞 | 2009年7月 7日 (火) 08時07分
花舞さんへ
天体について私は決して詳しくはありません。事実をいろいろ知りたいのです。時間や空間を越えて、これほど不思議で神秘的なものはありません。
最近、私は常に地球という宇宙船に乗ってる気がしてなりません。ですから、地球にいればもうすでに充分です。宇宙旅行など夢ではありません。夢はすでに叶っているのです。
私の誠の夢をご存知ですね。「会う」Dで国内旅行することです。
D≒Diana おっととと
投稿: カッキー | 2009年7月 7日 (火) 14時20分