我が家のシンボルになるか・・・赤いサルスベリ
先日、暫くぶりに前橋農協花木センターへ「何か良い植木はないかな」と散歩兼見学に行きました。たくさんの樹木の中を歩くことは今の季節、緑いっぱいで目の保養になりました。また、広い園内の散策は空気もおいしく、寂しい心が満たされました。
植木に対する私の拙い観点は大きく二つ。
「花の色」及び「樹形」です。ですから、シーズンオフであっても今の季節こそ、花木の価値を示す樹形は、正しく評価できると考えています。
しかしながら、夏から秋にかけて開花してる樹木は殆どありません。それでも植木職人は客の殆どいない園内で木々を剪定したり水を与えたりしてます。植物がよく成長するには華やかな開花時のみ手入れをしたり、慈しむものではないでしょう。
考えようによっては、花の咲かない今の時季は決してシーズンオフでなく、むしろ、来春の開化のために、準備に余念がなく作業に専念する植木職人のプロ魂を垣間見ました。
何事も本番のみ頑張ってもダメで、「人知れず周到な準備」こそ物事が大成する基盤であることは先日、深い感銘を受けたイチロー選手の9年連続200本安打の大リーグ新記録にも感じたことです。私たちは場面は異なっても彼の隠れた努力と類稀な研究心、どこまでも本質を探究する柔軟な精神に学ぶべきと感じています。
時を同じくして静かな園内で黙々と作業する植木職人の姿を拝見し、プロとはそうあるべきと認識できました。
園内で推定1000本程と思われる植木を何気なく見て回りました。そしてある瞬間、園内の最も奥に立ってるまだ赤い花をつけたサルスベリが私の目を惹きつけました。花は終わりに近づいていましたが、将来性を兼ね備え、実に魅力を感じる樹形です。
それはまるで憧れの女性にバッタリ出会った時のよう。高さは4メートルほどです。そばにいた植木職人にこのサルスベリについて尋ねました。彼曰く。「これを欲しがった人は何人かいました。」とのことです。私はそれが頷けました。クレーン付きトラックが庭に入れないとのことで残念がっていたとのことです。私の庭なら問題ないと感じ、代金は持ち合せていませんでしたが、千載一遇のチャンスと捉え、すぐに予約、翌日運搬してくれることになりました。
私は家に帰り早速、見た目に良い場所を決め夕刻までかかって大きく穴掘りです。枝がゆったりと駐車場側に張り出すことを想像しながらの穴掘りは、心が燃えるからでしょうか疲れません。人間の心は不思議なもの。いやなことは疲れますね。
翌日、トラックに積まれたサルスベリが我が家の庭に到着した時は一種の感慨を覚えました。赤い花をつけ、まるで我が家に嫁入りしてくれたようです。家で見ると思っていたより大きいものです。「ずっと、大切に扱うからね」と心に誓い、植木職人が植え込む姿を遠くから眺めていました。
私の内心として、このサルスベリは「現在の孤独な一人暮らしの記念樹。」いつかいいことが起こるようにと願いをこめ、庭に入ると目につく日当たりのよい位置に植えました。
剪定については、一般によく行われている毎年枝をぶつ切りにしないつもりです。ぶつ切りにすると翌年桑の枝のようにボウボウ長くと出て、折角の樹形が台無しと考えます。原則的に私は放任し、自然に咲く姿を楽しみたいです。それにより細かい枝がたくさん出て、樹木全体が雄大にして優しさが漂うと思っています。
サルスベリは中国南部が原産地といわれ、百日紅と書き中国ではパイリーホンと発音するようです。百日紅とはその名が示すように7月中旬から10月中旬まで約100日間咲くことに由来するのでしょう。花の少ない夏の貴重な植木。光沢ある幹も美しいものです。その幹はあたかも「猿も滑って登れない」とは昔の日本人もユーモラスな命名をしたものです。でも、特徴をよく捉え、そのお陰で多くの人に知られてる植木です。来年の夏が楽しみになりました。
【炎天の地上に花あり百日紅】 高浜虚子
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コメント
素敵なシンボルツリーですね~♪
我が家にも今、ホワイトのサルスベリが咲いていますが、花色は明るいほうが良いですネ!
しかし4メートルの樹木とは思い切った、お買い物なさいましたね~さすがカッキーさんですッ!
又、お庭の手入れで、お忙しくなりますね~(*^_^*)
投稿: 花舞 | 2009年9月16日 (水) 23時23分
花舞さんへ
私の理想は樹木に覆われた庭での暮らしです。何となく呼吸が楽になる気がします。このため樹木は大きいものが好きですが、あくまで庭木として育てるのですから、自分で剪定できるほどが限度ですね。
でも、大きな木々に囲まれるのは、精神的にも落着きが出て、とてもいい雰囲気と感じます。
花舞さん宅のサルスベリが白で拙宅のが赤とはお互い紅白ですね。
投稿: カッキー | 2009年9月17日 (木) 06時50分