圧巻であった中央中等管弦楽部のチャイコフスキー
【中央中等オーケストラの皆さんへ・・・2012年4月1日の演奏会は私のミスにより鑑賞の機会を逸してしまいました。誠に申し訳ございませんでした。】
群馬県高崎市には群馬交響楽団があり、市は総じて音楽文化に力を入れてると言えるでしょう。このため私は若い頃からベートーベンのシンフォニーなどを聴く機会に恵まれました。
ここを通過する道路は全国的に珍しく「シンフォニーロード」と命名され、ここ一帯は群馬音楽センターと道路を隔てたコアホールとともに内外の優れた音楽文化に接することができます。
群馬音楽センターは建設から約半世紀が経ちましたが、完成直後に来日したフランスの「ギャルド交響吹奏楽団」の洗練された響きに感銘を受けたものです。その頃、私はサックスに夢中になり始めた時だけに、これは千載一遇のチャンス。本場のクラシックサックスの優雅な音色に触れられ、若き日の感銘は現在に至るまで、ずっと私が目標とする音色を示唆しています。
この建物がアメリカ人レイモンド氏設計によるユニークな形をした群馬音楽センターです。2000人収容の素晴らしいホールです。ここは私が11年間、吹奏楽の定期演奏会で指揮した思い出のホールです。
ところで、本日午後、群馬県立中央中等教育学校管弦学部(84名)の第6回定期演奏会があり、楽しく鑑賞しましたが、実は楽しくというより、この学校の生徒さんの美的感性にただただ驚きました。入試は驚くほどの高倍率ですが、こんな優秀なオーケストラを聴くと、小学生の中には入学を強く希望する子供さんが多くいるのではないでしょうか。
中高一貫校として6年目を迎え、中1からメンバーに加われるオーケストラは県内ではここ1校。中1からこのような本格的な音楽環境で過ごすことは、これからの人生にどれほどプラスになるか計り知れません。
この音楽環境というのが、タダものではありません。50分もかかるチャイコフスキーの交響曲第4番を全楽章演奏したのです。教育次第では中高生の可能性は誠に無限と感じざるを得ません。その高度な取組みに、ただただ驚くばかりです。
http://www.youtube.com/embed/3Kfs4diCL84
第一楽章の出だしはご存じ、ホルンとファゴットによる一見華やかな中にも暗いロシア的ファンファーレ。これを聴いただけで、私の心はすでにロシア音楽の陰鬱な叫びに浸れました。
終楽章は有名なAllegro。主題はロシア民謡「白樺」です。テンポはあたかも烈火のようでスピード感溢れ、苦悩ー克服ー歓喜に至るかのごとく、「運命に対する勝利」を暗示しています。
今回の演奏を拝聴し、指揮者の先生の指示を瞬時瞬時に受け、デクレッシェンドやリタルダンドがきめ細かに表現できてると思いました。特にチェロやコントラバスといった弦楽器の通奏低音的響きに圧倒され、この曲の特徴であるどこまでも「冷たく張り裂けるような陰鬱さ」が十分観客席に伝わってきました。
学校の指導も的確になされ、入場無料を貫く教育方針に脱帽です。多くの吹奏楽定期演奏会では入場料500円で、中には700円も徴収する学校がありますが、これでは目標が別な方向に向けられ、生徒は美を追求する芸術本来の目的より、いかに入場券を多く販売するかという経済収支に気を取られるでしょう。
中央中等オーケストラの生徒さんは誠に貴重な部活に所属しています。これからも「深遠な芸術の香り」を求める若者であってください。
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コメント
群馬県高崎市・・・まだ見ぬ、異郷の地ですがステキな御案内で臨場感味わえます~♪
カキーさんは、素晴らしい音楽文化に恵まれてらっしゃるんですね~!
立派な音楽ホールで11年もの間、コンダクターを務めてらしたなんて~カッキーさんはタダモノでは、ないですね~(*^_^*)
投稿: 花舞 | 2009年9月26日 (土) 00時21分
花舞さんへ
私はタダモノです。
いつも遠方からコメントを有難うございます。
東京に御用がありましたら、ぜひ、群馬県へもお出で下さい。魔の山・谷川岳の一の倉沢、天神峠など眺望の良いスポットへご案内いたします。
若い頃、ユダヤ人指揮者について指揮法を教わったことがあり、指揮が合っていると感じたこともありました。
投稿: カッキー | 2009年9月26日 (土) 00時54分