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2009年12月29日 (火)

耐震化工事より高校無償化にお金を回す新政権

 もうすぐ阪神・淡路大震災の「1.17」がめぐってきます。地震直後に起きた火災による噴煙の映像が今でも脳裏から離れません。犠牲となられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 また、北京オリンピック開催直前に起きた四川近郊の大地震では授業中の校舎が多数倒壊し、たくさんの児童生徒が犠牲になったと報道されました。瓦礫の下を探し求め、我が子の名を叫ぶ痛々しい父母の姿が映し出されました。この地域では耐震構造(earthquake-proof construction)があまり進んでなかったと伝えられます。

 21年度予算編成を新政権は「国民の命を守る予算」と銘打っていますが、内容を見ると地震国日本でありながら、突如やってくる大地震に対し認識が甘すぎると感じられます。

  自治体が来年度に着工予定の小学校など5000棟の耐震工事のうち2800棟が着工できないといわれます。これにはとんでもない訳があるのです。政府は学校の耐震化こそ何をおいても早急に進めるべき事業ではないでしょうか。

 これから先、授業中に大地震が起こる可能性は否定できません。こんなことになれば、日本の将来を担う小・中・高校生の多くが犠牲となる可能性があり、考えただけでも恐ろしいことです。

 喉元を過ぎれば熱さを忘れてはなりません。日本列島は太平洋プレートなどが沈み込む上に位置し、地震の脅威に永遠に晒されてる宿命です。子供たちが安心して勉学できる校舎の耐震化こそ、高校授業料無償化とは比較にならない優先すべき事業で、時間的に先送りしてはなりません。

 ところで、高校授業料の実質無償化とは「どんな裕福な家庭にも一律に支援する」とのこと。これでは富裕層はますます富裕となり子供たちの生命を二の次にしてるようなものです。

 徹底した無駄の排除を訴えている新政権にしては、一律の支援こそ全くの無駄といえるでしょう。子どもたちの生命ほど大切な日本の宝はないのです。

 高校授業料を一律に無償化する財源は約4000億円と計上され、これにより、学校の耐震化工事の補助金にしわ寄せがきているというのです。

 英国の経済紙「エコノミスト」は11月末、新政権の経済運営を論評し、予算削減を担う事業仕分けは「街で一番の人気ショー。」「巨大な歳入不足という穴を埋めるのに、爪楊枝を使うようなもの」と事業仕分けを皮肉ってます。

 ところで、小・中・高校では春秋の年2回、防災避難訓練を実施してます。しかし、学校は何百人から場合によっては1000人以上と人数の多いところです。瞬時に襲う大地震では、たとえ避難経路が設定してあっても、2階以上の児童生徒は避難経路に殺到・渋滞し、倒壊前に全員の避難は難しいでしょう。

 これを未然に防ぐには、残る2800棟の耐震化工事こそ何をおいても予算をつけ、今すぐ着工すべきです。

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