重厚な弦の響きに感銘・中央中等オーケストラ
秋分の日に開催された群馬県立中央中等教育学校管弦楽部の第8回定期演奏会を拝聴しました。この日は大雨にもかかわらず、会場の群馬音楽センターにはたくさんの観客が入りました。
演奏した1年生から5年生までの部員総数92名は県下の学校の部活の中で最も大所帯と思われます。実際はすでに引退した6年生を含めると、4月当初は100人を越えてます。
実力ある6年生が春の演奏会を最後に引退するのは誠にもったいない感じです。しかし、管弦楽部を引退しても、オーケストラで培った力を生かし、今後はソロやアンサンブルに挑戦されれば、きっと精神の充実につながると思います。
弦楽器や管楽器には独奏曲として限りない古今の名曲が存在します。特にソナタ、コンチェルトです。また、アンサンブルとして弦楽四重奏や、管楽合奏には実に味わい深いものがあります。
将来、音楽を職業としなくても、オーケストラで培った貴重な経験を生かし、生活の中に室内楽を取り入れることは人間本来の充実した生き方につながると考えます。
ところで、今回の演奏について、開幕とともに始まったロッシーニーの「泥棒かささぎ」序曲は、このオペラの暗雲を予告するかのようにスネアドラムの不気味なトリルが2回です。2回目は効果的なクレッシェンドで、これがオーケストラの全合奏に引き継ぎ、この音楽が躍動感に満ちたものになりました。
有名な「セビリアの理髪師」「絹のきざはし」にも共通し「泥棒かささぎ」序曲は明るく南国的で、華麗なトリルとともにワクワクするクレッシェンドこそこの曲の特徴であることが演奏を通して分かります。ロッシーニーの音楽は概してオーボエが活躍しますが、中央中等のオーボエは会場いっぱいに素敵な音色が響き渡りました。
プログラムは「スラヴ舞曲」に移り、哀愁的、祖国的、また、他民族の音楽を吸収するドボルザークの進取な作曲技法に、以前に演奏された「新世界交響曲」を思い出しました。今回、演奏された5曲の中では有名なホ短調に、とても惹きつけられました。弦楽器は音程が難しかったでしょうが、見事にクリアーです。それから、フレーズからフレーズに移り変わる微妙なリタルダンドに味わい深いものがありました。
オーケストラで行進曲を演奏するには弦楽器の伸びやかな音色がポイントでしょう。メンデルスゾーンの「結婚行進曲」はあまりにも有名なので、観客は華麗な演奏に固唾をのんで楽しんでる様子でした。
西洋古典音楽が続いた後の「龍馬伝」は全く異質で新鮮に聴けました。今を行く難曲であっても、効果的に演奏した打楽器を中心に充分に現代音楽の魅力が表現され、日本には素晴らしい作曲家がいることが再確認できました。ヴォーカルも堂々としてました。
今回の定期演奏会の目玉はブラームスの「シンフォニー第2番」。40分もある大曲をわずか半年で仕上げたことに驚きとともに敬服です。猛暑続きの夏休みはきっと汗びっしょりで、個人練習に、練習場所探しに、パート練習に全体合奏に明け暮れたことでしょう。
多分、遊ぶ時間はなかったことと思われます。これは充実ということです。こんな名曲に挑戦できる中高生はそうはいません。県下でも誠に理想的な部活で、生まれ変わったら中央中等オーケストラに入りたい。
曲の構成はベートーベンにも通じるもの。しかし、概して穏やかな作品である印象です。特にチェロによる1楽章の第2テーマにシンフォニックな重厚感が漂い、心が惹きつけられました。
今回の定期演奏会を拝聴し、弦の重厚さとともに、ピッコロ及びオーボエの技術に驚きました。要所要所で役割を果され、曲がピリッと締まって、とても味わい深いものがありました。
情熱的な顧問教師指導のもと、これからも充実した学生生活をお送りください。
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コメント
はじめまして、m.と申します。
中央中等管弦楽部員です。
雨の中、今回も足を運んでいただいてありがとうございました。
毎回ブログで感想を載せていただいて高い評価をしてくださるので部員の日々の練習に励みになっています。
まだまだ未熟な点や反省すべき点も多くあるので今後の練習で努力していきたいと思います。
これからも、私たちの定期演奏会に足を運んでいただければ嬉しいです。
私は来年の4月の定演で引退になります。
今まで以上に気を引き締めて、部活動に取り組んでいこうと思います。
投稿: m. | 2010年9月24日 (金) 23時50分
はじめまして。中央中等管弦楽部のvと申します。大雨の中、足を運んでくださりありがとうございました。今回の演奏会の曲も難易度が高く、夏休みのほぼ毎日の練習に加え、初の合宿も行ったほどでした。しかし、私たちの演奏を聴いてくださる皆様のおかげで頑張ることができたのだと、日々感じております。これからも部員一同力を合わせて頑張りますので、4月の演奏会もぜひ楽しみにしていただければと思います。
投稿: v | 2010年9月25日 (土) 09時53分
mさんへ
vさんへ
早速のコメントに感謝いたします。この定演の記事は演奏会当日の深夜2時ころから明け方にかけて書きました。
もしかして、mさんはトロンボーンの方でしょうか。vさんはヴァイオリン又はヴィオラの方でしょうか。違ったらごめんなさい。いずれにしても、私はステージのあなた方を拝見してるのですね。
ところで、心にしみる定期演奏会、誠におめでとうございます。 吹奏楽はどの学校にもありますが、管弦楽は大変に貴重です。 ぜひ、これからも、中央中等のアカデミックな独自性をアピールしてください。そして、価値ある古典の名作に挑んでください。そのような環境にある高校生はほとんどいないのです。
私は以前に群馬音楽センターで「泥棒かささぎ」序曲を指揮したことがあるので、一小節一小節を懐かしく、そして楽しく拝聴できました。謝謝
投稿: カッキー | 2010年9月25日 (土) 11時11分
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆
こんにちはヽ(´▽`)/
中央中等管弦楽部の一年です。
定期演奏会にきていただきありがとうございました。
初めての定期演奏会で緊張しましたが、とても楽しかったです(*≧m≦*)
次の演奏会が楽しみです。
ありがとうございました。
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆
投稿: F | 2010年9月25日 (土) 17時32分
Fさんへ
コメント有難うございます。できれば楽器名を書かれると、私としては分かりやすくて有難いです。
Fさんならクラリネットの方でしょうか。間違ったらごめんなさい。
これからも古今の名曲を練習し、お聴かせ下さい。
ステージを体験されると自信がつきます。それにより平素の練習に於いて、心構えがより明確になると思われます。これからも応援いたします。
投稿: カッキー | 2010年9月25日 (土) 21時14分
こんにちわ(◎´∀`)ノ
中等1年のYです
今回は定期演奏会にきていただき、ありがとうございます♪
現在私たちはまた新しい曲の練習に励んでいます。パートが難しく、とても大変そうです(@Д@;
いい演奏ができるようがんばりますので、4月もぜひ足をお運びください!!
投稿: Y | 2010年9月27日 (月) 22時52分
Yさんへ
音楽センターでの初めてのステージは貴重な経験になったことと思われます。
定演が終わり、部活はしばらく休みかと思いましたが、もう新たな曲の練習が始まったとは熱が入ってますね。
次の大きな目標である4月に向けてしっかりやってください。
投稿: カッキー | 2010年9月28日 (火) 02時56分
。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚
カッキー様
ごめんなさい。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
パート名はクラリネットですヽ(´▽`)/
この間の部活の時間に、このカッキーさんのコメントを部長さんが紹介していました。
コピーをして、部活動を行う場所である音楽室に飾らせていただいております。
みんな、ありがたいといっていました。
私も、カッキーさんのような方々に支えられて今の管弦楽部があると思います。
だから、応援していただいていることで、次の定期演奏会も頑張らなくては、と思います。
普段の練習も、より一層真剣に取り組みtたいと思います。
本当にありがとうございます。
日本語がおかしい所があったらごめんなさい。
長々とすみませんでした。
。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚
投稿: clarinet F | 2010年9月29日 (水) 21時52分
clarinet Fさんへ
コメント有難うございます。拙い記事を音楽室に飾ってあるなんて、驚きとともに本当に正しいコメントか心配になりますが、私の音楽体験を通しての衷心からの感想です。
今回、クラリネットの音色もよく響いていましたよ。
オーケストラにマッチしたクラリネットの音色を目指されると、より本格的なクラリネットの音色に近づくと感じています。
オーケストラの一員として、素晴らしい環境にいるのですから、次の名曲チャレンジではより輝きのある音色をめざしてください。
投稿: カッキー | 2010年9月30日 (木) 04時05分
久しぶりにページを開きましたが・・・
管弦楽部の皆がコメントさせていただいてます。
私はカッキーさんの言うとおり、ヴァイオリン担当です。
新しい曲の練習も始まりましたがヴァイオリンパートはものすごいことになっております(汗)
しかし、大勢の方に支えられている以上、やり遂げなければならないのだとおもっております。 定期演奏会のほかにも高崎連合音楽祭や全国高校生オーケストラフェスタの参加も予定しておりますので頑張りたいです。
P.S次回の定期演奏会の曲目ですが、まだお教えすることができません。ひとつの楽しみとしてお待ちいただければ幸いです。
投稿: v | 2010年10月11日 (月) 14時19分
ヴァイオリン担当のVさんへ
2回もコメントいただきありがとうございます。私は昔インドに2年間滞在してました。その時、カルカッタ交響楽団のコンサートマスターの方にヴァイオリンを習ってました。
現在はピアノを練習してます。時々ホームコンサートをやりました。現在は家族がいないのでしてません。
中央中等オーケストラは大変に素晴らしい部活ですから、しっかり6年生まで続けヴァイオリンの腕を磨くとともに、最終的には良い音色を求めて名曲に挑んでください。
投稿: カッキー | 2010年10月11日 (月) 17時15分