連合会合同100K訓練の放鳩者として行く
いよいよ春季レースが近づき、多くの連合会や支部では訓練が始まってる頃でしょう。今回、私は他の連合会との合同100キロ訓練で約1000羽の鳩の放鳩に行ってきました。
平素忘れがちであっても、地球が球体であることから一見平らな地面は僅かに丸みを帯びてます。このため、鳩レースでは放鳩地点と鳩舎間の距離を、地球の半径6378.388K及び、緯度1度の実距離111.323Kに基づく「球面三角法」を用いて、メートル単位まで計算し、飼育者は鳩の到着時刻を端末機器を使って審査員に知らせ、審査員により分速が計算されて参加鳩の序列が決定します。
球面三角法の計算は桁数が多くなるので対数を用います。現在はコンブューターにより瞬時に距離測定が出来ます。それでも、レースに参加する場合、関心ごとを鳩の血統及び管理のみに終始せず、一度は自ら距離測定するのも鳩レースの成り立ち全体を理解するには大切なことでしょう。
参加者はレース日に家で空を見上げて鳩の帰りを今か今かと待ってるのも楽しいものです。しかし、時には会の放鳩者として現地に行き、会員のレース鳩を例えば1000羽を放鳩をするのも実に楽しいものです。同時に方向判定の姿が学べ、また、他の連合会との合同訓練なので、多くの会員から預かった鳩を無事に放鳩して帰還させることが出来るか責任を感じます。
放鳩者としての責任は、電線など近くに障害物のない飛翔に適した場所を探すこと、及び天候や風など放鳩時刻のタイミングです。結果的に帰還率が低ければ会員に申し訳ないと心配でした。
私が放鳩担当として今回、栃木県・塩谷へ行ったのは初めてです。以前に青森県・十和田500Kや岩手県・北上400Kなど連盟レースの放鳩経験はあっても、およそ20年ぶりの放鳩は、事故なく確実に放鳩できるか苦労しました。
家を午前2時過ぎに出て、鳩が積んである会館のトラックへ、専門のトラック運転者に便乗し、3時に会館を出発しました。しばらくは一般道を走り、その後1時間ほど東北自動車道を走り、矢板インターを降りて5時頃、現地に着いても周囲は真っ暗です。
暗い中で待機しているときが最も寒いです。理由は二つで、日の出前が最低気温になるためと、鳩の健康を考慮してエンジンを止めて待機するからです。
6時を回って、やっと南東の空がかすかに明るくなっても星が輝いてます。天候の心配はないと安堵しつつも、心配は実際の放鳩地です。明るくなってから探し、やっと理想的な場所が見つかった時はホッとしました。
トラックの荷台から1000羽の鳩を一斉に放すことを想像してみてください。もの凄い迫力で、次第に上空へ舞い上がると、それは大きな塊となって、一見、蜂の集団のようです。幸いにも放鳩直後、鷹やハヤブサといった猛禽の出現はありませんでした。山が離れてるからでしょう。
上空へ舞い上がった鳩の集団は高さ別に3つのグループに分かれ、高い集団から帰還地方面へ方向判定し、この高い集団に入らなければ、この時点ですでに優勝・入賞は無理であることが一目瞭然です。
地図で見る塩谷は山間地であっても、今回の放鳩地は広い田んぼの平原です。荒川という川の少し南に最適の放鳩場所があり、ホッとしました。
ところで、前述のように鳩は放された後、高さ別に3つのグループに分かれました。どのグループに入るのが善し悪しかは明白です。高度が低くく、もたもたしたグループに入れば、高分速の望みはありません。帰還途中、猛禽の対象にもなるでしょう。
実は、私の町には協会が異なる超実力の持ち主Y鳩舎がいます。昨春の稚内レースでは「若の♂」で関東総合優勝されました。若鳩♂で1000K総合優勝とはあまりないでしょう。
Y鳩舎の日頃の舎外運動の高さは推定300メートルほどあります。それはスピードに乗り横一線に並ぶ雄大な飛び方です。50メートル程の高さをひらひら飛ぶのではありません。
高度があるので鳩が本当に小さくなります。しかも、かなりの羽数を舎外され見応えがあります。私はそれを拝見し、鳩レースとは血統はもちろんだが、【いかに高度ある舎外を日々行なえるか】が勝者の基本と考えるようになりました。今回、連合会の放鳩に行き、目で見ていろいろ頷けました。
新規巻き直しで【基本は高度ある舎外を徹底する】飼育法を今後の目標にします。
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コメント
毎日雪とのまさしく格闘の日々です。
今年はことのほか積雪量があり、空を見上げては2月に入り舎外を再開(昨年11月以来)できるのか不安な日々です。
この時期、連合会の合同訓練羨出来ることが羨ましい限りです。
私が審査員の資格(鳩の世界)を取ったのがたしか昭和56年、当時は審査用紙を並べ計算済みのものが順番に挿入され、自分の順位がどこなのか?ドキドキものだったのが懐かしく思い出されます。
距離計算は「ピタゴラスの定理」などという古めかしい記憶を呼び戻そうと必死になったような記憶があります。
今はグーグルで正確な距離がたちどころに表示、分速計算など瞬時にコンピューターが処理、時代も大きく変わったものです。
当時三十代の青年であった私も、今では還暦過ぎの爺さんになってしまいました。
いや、過去を振り返るのはやめましょう、まだまだ好奇心いっぱいの青年です(笑い)
投稿: 秋田鈴木 | 2012年1月17日 (火) 13時02分
鈴木様
コメント有難うございます。
今年は秋田、青森に降雪がかなりあるとニュースが伝えてます。秋田県のことが話題になると、今までと異なる反応を示す私になりました。
やはり、八珍の高清水の味が心と体に浸みこんだのでしょう。
ところで、降雪では舎外も儘ならず、気がもめるでしょうが、必ずよい天気は来るのですから、それまでは鈴木さんと鳩の健康管理をお願いします。
私どもは予定では今月21日が150K福島県・白河の3羽指定レースで、総会があります。私は一般会計担当なので、それまでに決算書の作成や、秋の表彰に関する事務手続きがあり、ちょっと準備が大変です。
最近は私の舎外【スポーツジムでの筋トレ】もやり、夕食のお酒がおいしくなればと思います。しかし、飲み過ぎたら元も子もありません。
私のようにとうの昔に還暦を過ぎても、涙ぐましく真剣に婚活してるのですから、仰せの通り、過去は振り返らず、夢を持ちいろいろに好奇心を持って万年青年の意気込みこそ大切で、今叫ばれてる「生きる力」をお互い実践したいものです。
投稿: カッキー | 2012年1月17日 (火) 14時17分
初めまして。高度ある舎外をする為には、何かコツか、テクニックのようなものがあるのでしょうか。
投稿: lime | 2012年2月 6日 (月) 16時55分
Limeさんへ
アクセスとご質問を有難うございます。もしかして、大阪にお住まいの方でしょうか。また、飼育羽数はどれほどでしょうか。
「レース鳩が素晴らしい飛翔成績を出すにはどうしたらよいか」については、どなたも日々研究してるテーマであると思います。
今回は、たまたま放鳩者として約1000羽を放した感想ですが、一つのグループはかなり高く上がりました。
方向判定するには高ければ高いほど有利と考えられます。平素の舎外運動から高度ある舎外に慣れさせたいものです。
鳩体が重たいと上昇し難いでしょう。これは体質と平素の給餌にあると考えられます。また、個人訓練では時には高い山の山頂から放すのも、平地とは異なる気圧の変化や標高に慣れるのではないかと思ってます。
投稿: カッキー | 2012年2月 6日 (月) 21時01分
丁重に答えていただき有難うございました。
大阪府堺市で飼育をしていますが、ベランダ
鳩舎の為約1、5坪で種鳩と選手鳩共有鳩舎ですが、毎年秋季と春季には20~30羽の参加で楽しくレースをしています。(総合優勝あり)ただ最近の猛禽類の被害には困っております。今現在100K訓練が終わり20羽が残っていますが何とか1000Kまで参加したいものです。
投稿: lime | 2012年2月 8日 (水) 12時01分
lime さんへ
総合優勝されたとは素晴らしいですね。
昨今はレース鳩を飼育する環境は皆さん良くありません。仰せの通り、どこにおいても猛禽類の出現が多いです。
当方も、次回は200キロですが、今のところ天候不良で順延です。
それでは、貴舎の益々の成績向上を祈念しております。
投稿: カッキー | 2012年2月 8日 (水) 13時36分