朝開き夕方は閉じる「ねむの木」の葉の不思議
「ねむの木」の開花は6月~7月といわれます。私の庭の「ねむの木」は樹齢が若いので開花に未だ数年かかるでしょう。昔、父が植えた「ねむの木」は高さ4~5mのもので今の時季になると、この世とは思えない神秘な花をつけました。
私は若かったので、その素晴らしさにそれほど感銘せず、何かの折に切ってしまい、今となっては勿体ない事をしたと悔んでいます。若気の至りということでしょう。
しかし、自然とはよくできてるものです。近年、何と庭に「ねむの木」の子供が生えました。種子によって昔の「ねむの木」が子孫を残していたのです。写真の木がそれです。
今の年齢になり改めて、樹木が子孫を残すことに心から感銘です。「もう切らないからね。」と心に誓い、剪定によりバランスのよい樹形になってます。
ところで、「ねむの木」はその名が示す通り、日中は葉が開き、夜は閉じます。このような植物の習性は「就眠運動」といわれ、何とも不思議な樹木です。しかも、その閉じ方がダイナミックで、よく出来てます。
あたかもムカデのように芯の両側に対を成すように葉が生えており、夕刻になるとその葉同士が次第に持ち上がり手のひらを閉じるように合体します。
こんなことから、中国では合歓木【ホーホワンモウ】と表現され、夫婦円満の象徴とされてるようです。なぜ、このような就眠運動するか謎で、必ず理由があるでしょう。
「ねむの木」に限らず植物の多くは太陽光に対して何らかの反応を示すことが観察できます。例えばモクレンは蕾が膨らむと蕾の先が北極星の方向を向きます。つまり、太陽側の部分が膨らむのです。三日月に似ます。一つ残らずそうです。
その点「ひまわり」は太陽の方角を向くことが知られ、中国語では向日葵【シアンリークイ】と書くようです。シャクナゲやツツジの多くの花弁を観察すると、やはり太陽に近い方に点々が見られます。身近なところでは「三色すみれ」の花弁には上下があり、ある部分が太陽の方向に向き、結果的に猿の顔に似てるのでしょう。
ところで、「ねむの木」の日中の姿は葉が開いて光合成をしてると考えられます。しかし、なぜ、夜は就眠運動するのでしょう。その謎を解き明かしたいものです。なお、この葉に似てるものに「オジギソウ」があります。こちらは人が手で葉を触ると閉じるのでこれまた不思議です。
礼儀作法が身についてない私は、いつの日か「オジギソウ」を探し、育てたいと思います。
ところで、「ねむの木」の分布はイラン、アフガニスタン、中国南部、朝鮮半島といわれ、他の多くの植物同様、昔、日本に渡ったと考えられます。花が咲けば風流という言葉が似合いそうです。
花はあたかも絹のようなことから英語ではsilk flowerといわれます。夫婦円満の象徴である「ねむの木」に肖り、一人暮らしを解消したいものです。
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