2羽の1000K記録鳩を軸に種鳩の健康管理
【モントバーン・北部オランダ1022K5796羽中・優勝スチール号】
レース鳩の管理は大きく二つあり、レース必勝へ向けて餌の調整から訓練を行なう選手鳩の管理があります。
一方、これから9月10月11月は種鳩の健康管理が翌春の作出成績を左右し、延いては長距離レースの成績向上が期待できるか、あるいは沈滞させるかの分岐点になるといえるでしょう。
今回は、秋レースの真っただ中にあって、ややもすると疎かになりがちな種鳩の管理について考えてみました。8月から11月末まではトヤの時季のため、換羽の進捗状況により種鳩が健康か否か識別できるものです。
内臓の不健康な鳩ほど見た目にみすぼらしい格好になり、健康な鳩は換羽してることが分からない程きれいに換羽が進行するものです。一目見て、今、いかにも換羽の真っ最中というような鳩は内臓に何らかの欠陥があると考えられます。
ところで、一般的に種鳩は運動不足がちなので、飼育者は鳩が運動できるように種鳩鳩舎の構造を工夫したいものです。
其の一として、常に緊張感を持ち、バランス感覚を陶冶するため、すべて止まり木に止まって就寝する環境がいいと考えます。その止まり木は可能な限り天井に近い高い位置が良く、床から止まり木まで垂直に高く飛ぶので両翼の筋肉をその都度使います。
其の二として、巣房の前にある到着台は閉めるべきです。板の上で過ごすとバランス感覚が鈍り、安心して緊張感がなくなります。
どの鳩舎も、そろそろ♂♀分離するようですが、私は分離はあまり長い期間しないほうが好ましいと考えます。それより優先すべきは、鳩舎の端の止まり木から反対側の止り木まで飛べるよう運動範囲を広くしたいものです。狭いと、どうしても運動不足に陥り太ります。
卵を産ませないための狭い部屋での分離より、多少産んでも、それより特に♀が太らない工夫を優先させたいです。
私の知ってる強豪は交配する一ヶ月前に分離するとのことですから、狭い種鳩鳩舎では卵を産んでしまうリスクより、運動不足の危険性排除を優先させてるようです。卵は8~9月は産むことがあっても、餌次第では次第に産まなくなるものです。12月に分離すれば、春の交配に支障はないと考えられます。
大型鳩舎では分離しても、舎内が広いので、この心配はありません。当舎も比較的狭いので、分離による運動不足を恐れてます。ややもすると高齢の♀は下腹部に脂肪が溜まり不健康極まりないです。これは飼育者の努力で必ず防がなくてはなりません。
【今春・東日本稚内GN1039K連盟5位のモザイク号】
種の健康については、鳩舎構造を工夫して運動不足解消を図るとともに、必要不可欠の餌以外は除去することが肝心で、私は5種の分離用の餌を与えてます。大麦、トウモロコシ、コーリャン、蕎麦の実、少量の小麦の混合飼料です。
これでも量を与え過ぎると♀は下腹が太るので、時折、♀鳩を掴み、確認しながら餌を与えたいものです。私は餌を与えた後、2羽が水を飲んだら、餌を止めます。
塩土と鉱物飼料、レッドストーン、ミネビタンなどは常時、食べられるようにしておくのが一般的であっても、私はこれらを常に与えるのでなく、鉱物飼料を与えるときは鉱物飼料のみを与えると効果があると感じます。それは鳩が空腹時なら夢中で食べるからです。常に置いておくと夢中で食べません。また、汚れがちです。
ミネビタンは餌に塗して与えます。または霧を吹くと張り付きます。
換羽時期である今の時季に種を導入する方法も健康度が分かるでしょう。血統は優れていても健康度を示す診断書はついてません。長距離系の場合、できれば♂は自身が長距離を飛んだ鳩で、♀は両親のどちらかが長距離を飛んだ血統的裏付けがあればいいと考えます。♀の場合、自身が長距離を飛んだ鳩は、その後の作出に支障を来す場合が時にあるからです。
秋から冬にかけては、種の管理に手を抜かないようにしたいものです。優れた血統を生かすには、♀を太らせないことと、生理現象である換羽を健康に仕上げたいものです。
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