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2013年9月 3日 (火)

青春真っただ中、高崎商業高校吹奏楽部・・・・・・・第50回定演へ集中練習・・・・・・・

P1040210【初秋の赤城山・小沼】 

 本番11月4日、群馬音楽センターで行われる群馬県立高崎商業高校吹奏楽部の第50回記念演奏会の練習を行いました。昭和時代の最後11年間を同校で顧問をしていたことから、学校より私に指揮の依頼がありました。

 練習会場である高商音楽室は当時と全く変わらず、指揮をとる間に気持ちは36年前から25年前の若き日に戻れました。吹奏楽部部員は殆どが女子生徒です。本校は部活数が多いことから男子は運動部への所属が多いといわれます。

 暫くぶりの交響詩「フィンランディア」の指揮はつい頑張り、本当のところ、へとへとに疲れても、部員と共に名曲に取り組んだ時間はとても充実してました。

 以前に前高創立120周年記念式典の演奏で指揮したことのある「フィンランディア」も、音楽は生き物であることから、曲への取り組みは私も第一歩からです。

 この曲はフィンランドの作曲家シベリウス(1865~1957)のオーケストラ作品であり、元々、金管楽器と木管楽器、そしてティンパニーを中心とする打楽器群が活躍する楽曲であることから、オーボエ、フルート、クラリネット、アルトサックスなど高音木管群による丁寧な演奏を心掛ければ、当時のフィンランド国民のおかれた歴史的状況や、作品の持つ急緩の多様性は吹奏楽でも十分に対応できると思います。

800pxrepoveden_kansallispuisto_kesa 【フィンランド南部の光景・・・ウィキペディアより】

 曲はクレッシェンドを伴う荘厳なコラールに始まり、主旋律はトロンポーン群からフィンランドの雄大な風景を彷彿させるホルンの迫力に引き継がれ、和声はますます重厚味を増します。

 雄大な国土とは裏腹に、当時、この国が置かれた理不尽な状況からの脱皮を願う、あるいは、子供たちの輝く未来を希求するものであっても、通奏低音の如く、厳しい現実の中で生きる長年にわたる庶民の心境を表現してるものと感じます。

 一般的に、音楽とはテンポやリズムと言った時間の流れが感じられても、このコラールにはそれが感じられず、不穏な動きを内包しつつ、時間を忘れ、空間の中に漂う国民の叫びは木管楽器の祈りのような応答につながります。

 しかし、曲はますます暗雲が漂い、コントラバス、チューバ、ユーホォニューム、バズーン、バリトンサックスなど低音楽器による唸りは、恰も、ベートーベンの第9交響曲・第4楽章冒頭の重厚なレシタチーブを彷彿させるもの。それはどん底にある人間の会話の如く、高音部と低音部の「問い」と「応答」の繰りしであり、この曲の持つどこまでも辛くやり切れない表情が音楽の大きな特徴の一つといえます。その間、垣間見るオーボエ、フルートの音色の明るさに一筋の希望が漂います。

Dscf0086 【群馬音楽センター】

  http://www.youtube.com/watch?v=0sRepG15qMA

 曲は一転して雷鳴の如く鳴り響くティンパーニーのトレモノの連続の中、トランペットを核とする金管群の激しいリズムの連続とクラリネット群による対旋律の問答を、如何に対称的に演奏できるかがポイントと考えてます。

 そして、フィンランド第2の国歌とまで言われる「おお、スオミ」の旋律。祖国愛と祖国の自然美を讃える有名なメロディーには音階の「シ」が抜けてることが、この曲の一層の優美さに繋がってるのでしょう。

 2回演奏されるこの旋律を如何にして澄み切った音色で演奏出来るか、同時に、2回目はチューバ、コントラバスを中心とする低音楽器の対位旋律をいかに浮かび上がらせるかが、練習のポイントの一つです。「暗雲立ち込める時代から希望に満ちる明るい未来へ」を対比的に演奏できるよう心掛けたいものです。

 どの楽器にとっても、表舞台に立つチャンスがある「フィンランディア」は、特に平素は比較的裏方で縁の下の力持ち的存在である低音楽器群の持ち味を生かせる楽曲と感じています。

 高商ブラスの皆さんは、第50回記念定期演奏会に向け多くの曲の練習や、県代表してマーチングコンクールなど行事がいっぱいでも、「青春の真っただ中にあって、名曲に触れられる幸せ」を噛みしめつつ、群馬音楽センターでの発表に臨みましょう。カッキーも頑張ります。  

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