就眠運動する「ねむの木」の不思議
数年前に自然に生えた「ねむの木」は今では高さ5mほどになり、予想以上の高木となって庭に木漏れ日を作ってます。一般的に、花木の開花が一段落した梅雨の現在、何と優雅な花を咲かせているのでしょう。ご覧の通り、蕾がたくさんついてるので、暫くはねむの花が楽しめそうです。
実は、40年ほど前、亡父が植えた「ねむの木」が庭の隅にありました。時々は開花を見たことがあっても、今の「ねむの木」ほど華やかに咲かなかった記憶があります。しかし、現在の家を建設することから敷地の関係で切り倒してしまいました。
それから数年して、庭の真ん中という全く違う場所に幾本かの「ねむの木」が生えました。昔の「ねむの木」の種が暫くしてから生えた可能性があります。種を通じて生命を次代につなぐ神秘です。町内の友人に1本分けて上げたことがあります。
ところで「ねむの木」という命名の由来は「夜間に葉が閉じることに因ります。互いに対となる葉が重なり合って閉じ一枚のようになると共に、葉を支えてる茎も閉じます。日没とともに閉じ、日の出とともに開き、日照時間に忠実です。これが「ねむの木」の名称の由来で、夜間に葉が閉じる理由については科学的にも本当のところは分からないようです。
日中の葉が開いた様子から夜の葉の閉じた状態は全くの変貌です。なぜ、このように「就眠運動するのか」子供の頃から不思議な植物と感じてましたが、よく観察すると一枚一枚の葉が0.1㎜ほどでとても薄く、しかも小さく、しかも左右対称に並んでいます。もしかして、あらゆる植物の中で最も薄く、最も小さい葉かもしれません。
ご覧の通り、一枚一枚の葉は対になっており、また、葉の集団同士も左右の対になってます。1枚の葉は小さな楕円形を成し、夜間に対をないしてる葉同士で重なり合って閉じます。
夜間に閉じるので「ねむの木」は中国では夫婦円満の象徴といわれ、葉の付け根を良く観察すると少し太くて丸くなってます。おそらくこの中に光に反応する物質があり、膨らんだりすることで、結果的に葉が閉じるのかもしれません。
ところで、「ねむの木」の原産地はサルスベリ同様、夏に咲く樹木であることから、中近東ではないかと推測されます。現在の分布はイラン、アフガニスタン、中国、アフガニスタン、日本の本州以南といわれます。私は20代前半にインドの日本人学校に勤務してましたが、インドで「ねむの木」を見たことはなかったと記憶してます。インドでは火炎樹が夏の象徴でした。
ところで、「ねむの木」は葉が極小でも、数えてみると最も小さい集団は約50枚です。この倍数となって1本の枝につく葉の数が約1000枚です。このため、樹木全体の葉数は大きさによりますが、数万から数十万ではないでしょうか。これは結果的に、半日蔭を好む植物のため、また、人間のために「木漏れ日」を作ります。
木漏れ日を作ることが夏の樹木として大きな役目を果たし、暑い太陽光線を遮ることからでシャクナゲなど半日蔭を好む植物にとっては、福音である植物でしょう。
「ねむの花」が魅力なのは極楽浄土を彷彿させる雰囲気ではないでしょうか。
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