厳しい自然淘汰・・・「ツバメ」の一生
半年前、隣に引っ越してきた新築家屋Aさん宅の軒先に営巣し、子育てしてたツバメ一家を先日、確認したところ、すでに「もぬけの殻」の状態であり、出入りするツバメの低空飛行は親子ともども全く見られなくなりました。
観察してた私も、予想以上に早く巣立って行った雛の逞しさとともに、姿が見えない一抹の寂しさが交差します。隣の家には保育園児の娘さんが二人いることから、とても良い日々の観察学習ができたのではないでしょうか。同時に、私が感じたように彼女たちも寂しさを感じていることでしょう。
私の推測では、今後、庭先に低空飛行の障害となる塀などを作らなければ、来春もやってくるのではないかと期待してます。保育園児の二人にとっても、来春、「果たしてツバメが戻ってくるか」と大きな期待をしてると思います。
ところで、自然界に生息する多くの鳥類が樹木に営巣するのに対して、ツバメは人間の住み家の、しかも軒先に巣を作る習性があることを考えてみました。
先史時代からと想われること。「多くの鳥類にはそれぞれ天敵」が存在します。レース鳩を半世紀以上、飼育してる私は結果的に数百羽のレース鳩を天敵の鷹や隼に空中で獲られ、一瞬にして命を落とし、これらの餌食になってます。
現在でも、レース鳩を毎朝、外に出して運動させてますが、飼育羽数は次第に減ってきてる事実があります。原因の90%が天敵の餌食になったと考えます。
このように動物には天敵が存在し、ツバメの雛が育ち、飛翔に馴れ、いよいよ生まれ故郷を後にして赤道付近の島々へ渡るとなると、遭遇する天敵の数は数え切れるほどであるでしょう。それに加えて台風の猛威に直面したり、あるいは避けて飛んでも、いっしょに飛んでた親子もバラバラになり、その間、雛は自ら小さな昆虫など餌を確保しながらエネルギーを蓄え、すでに数千キロ南の島へ渡りを始めていると考えられます。
子供のときからの拙い観察経験では通常、ツバメの番いは続けて2回ほど産卵し、子育てする姿が記憶に残ってます。今回の観察では一回きりの子育てでした。それが終わると途端に姿が見えなくなり、巣は全く汚れていません。「立つ鳥あとを濁さず」のとおりです。
運命ですが、今回の子育て中に雛は巣から1羽が落下し、残った雛は3羽です。この段階で、すでに自然淘汰が行われてます。親からたくさん餌をもらって早く成長し、体力がついた雛が、弱い兄弟を巣から落とす現象です。成長し、雛たちは巣からはみ出すように成長します。このように未熟な兄弟を巣から落とす雛の行動はレース鳩にも見られ、体力のあるものだけが生き残る掟があります。
ところで、ツバメが人家の軒先に巣を作る理由は天敵から雛を隠すため」と考えられ、雛を狙うのは主にカラスです。もちろん嗅覚の鋭いヘビも考えられます。通常、カラスは人間の近くには寄り付かないので、ツバメはそれをうまく利用し人家の軒先に巣を作る習性になったと考えられます。
今回、私が驚いたことは、巣立ちした雛が1~2日で大空を飛翔し、その後、親子ともども姿を見せないことです。
私たち人間の想像を超えた成長の速さであり、すでに遠い地点まで飛翔してる可能性があります。生まれて間もないのに命を狙う天敵の危機を回避し、大海原を渡り、すでに赤道近くまで南下しつつあるかもしれません。隣の二人の園児とともに来春の帰還を心待ちにします。
また、ツバメの一生は2~3年と考えられ、育て上げた雛に未来を託し、世を去る短い生涯と考えます。この繰り返しが石器時代以前より延々と続いているのでしょう。
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