生涯、心に残るであろう高崎商業高校吹奏楽部・第52回定期演奏会
11月3日、文化の日に相応しく、群馬県立高崎商業高等学校吹奏楽部による第52回定期演奏会が開催され、昭和時代に11年間この部の顧問であった私は、若い生徒さん達の演奏を楽しみに群馬音楽センターに向かいました。
どうしたことでしょう。会場入口に客は外まで長蛇の列を成しており、開演時間が迫る中、なかなかチケットが購入できず、やっとのことで館内に入りました。途端に昔のOB・OGが数人やって来て27年ぶりの懐かしい顔と再会なりました。
演奏は三部構成で、一部の演奏は普遍的な吹奏楽の形態によるもの。日頃、私は音楽演奏で大切なことは「躍動的なテンポ感」「歯切れのよいリズム感」「重厚みある音色とハーモニー」が芸術音楽として、聴く人を感銘させる要素ではないかと感じてます。
このうち「躍動的なテンポ感」は指揮者の感性によるものであり、こちらは本来ピアニストである顧問G先生の幅広い演奏体験から生み出された「快適なテンポ感」が会場に伝わり、観客は先生の清々しい指揮ぶりに感銘されてるようでした。
「歯切れのよいリズム」については平素のきびきびした練習や、規則正しい生活習慣から生み出されるものであり、今回の演奏は演奏者全員による歯切れの良さが感じられましたが、パーカッション群全員の持ち味がいかんなく表現され、マリンバなど鍵盤楽器群及び、特にティンパニーの躍動感に満ちた演奏に深く感銘したのは私だけではないでしょう。
「音色」については、音楽芸術の根幹であり、個々の演奏者の美的感性によるものです。これは個人の生来の音楽環境によると考えられ、音色の良さは言葉で表現できたり、一朝一夕に上達するものではないでしょう。これを会得するには、上手い演奏や、日々、クラシックの名曲を数多く聴く生活習慣を通じて培われるものと考えられます。
私が「一部」で深く感銘したのは「レ・ミゼラプル」でした。特に木管高音部のオーボエ、クラリネット、フルートはもちろんサックス群やバス―ンなど木管群の「厚みのある音色とハーモニー」は圧巻で、これはきっと厳しい合奏練習、パート練習の賜と悟りました。
一方、ティンパニーの揺るぎないリズム感に驚くと共に、ソロを受け持ったピッコロの気高い音色に品格が感じられました。
おそらく、夏休み以降2ヶ月という短期間に、中間テストや各種検定試験があり、また、プログラムの中に掲載されてる膨大な広告取りに時間を割かれ、練習時間が取れず、一方、部員数54名の大所帯では練習場所確保に苦労されたのではないかと推測します。
その大変さを吹き飛ばす如く、「二部」では心から燃え、3年生から1年生まで、よくぞ楽しいステージを創り上げました。会場全体は楽しさの渦に巻き込まれ、効果的であったペンライトの配布、次から次へと独創的な振り付けは若者のみが創作できる特権でしょう。
私は、そのステージ度胸に唖然とするほど魅入ってしまい、昔から変わらぬ高商生の逞しさとユーモアに満ち溢れた青春は、3年生にとって生涯忘れえぬ心の財産になるでしょう。
「三部」では、近年、ますます磨きがかかってる「高商マーキュリーズ」に見てる人は釘付けです。今年度、西関東マーチングコンテスト銀賞の腕は流石で、ウェストサイド物語など数々の名曲を演奏しながら、「複雑にして一糸乱れぬ機敏な動き」は観客を魅了するに十分で「大きな才能」としか言いようがありません。それと共に演奏者全員がとても表情豊かで、今後ますます磨きがかかると予感します。
こんなに頭を駆使するステージはあまり類を見ないことでしょう。部員たちの「マーチングにかけた青春」が次から次へと光り輝き、観客にこれでもかと「躍動美を訴える気迫」が伝わってきます。
この日は3年生にとって思い出深い3年間を締めくくるステージ、おそらく「生涯忘れぬ人生の歴史的一コマ」になるでしょう。今日の演奏会が、これからの長い人生において、何事も「目的に向かって仲間と力を合わせ、誠心誠意、努力する過程の大切さ」を体験されました。
高商吹奏楽部の皆さん、三人の顧問教師指導のもと、Y部長を中心に誠に中身の濃い第52回定期演奏会になりました。ぜひ、生涯を通じて音楽を愛好する豊かな人になってください。観客の一人として定期演奏会が十分に楽しめました。感謝いたします。・・・・・・カッキーより
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