G線上のアリアを市民に・・・みかぼ室内管弦楽団
1月11日(成人の日)に、以前より楽しみにしてた「みかぼ室内管弦楽団」による「昼のミニコンサート」が高崎市浜川プールのロビーで行われました。
私はフェイスブック友人Oさんのページでこれを知りましたが、今回は、事前に地元紙・上毛新聞に「ミニコンサート」の記事が掲載されたからでしょう。会場にはたくさんの市民が集まり、実は私もやっと椅子に座れる状況で、立って聴いてる人たちもかなりの数でした。
この様子を拝見し、高崎市民には音楽好きの人が多く、平素の乾いた「自らの心に潤い」を与えようとする人、あるいは「本物の生演奏に触れたい」と感じてる人が多くいるのではないかと思われました。
鑑賞者は概して高齢の方が多く、男女は約半々、若いお母さんが幼児を抱いて鑑賞する温かい姿もありました。幼時からバッハなど本物の音楽を聴かせようとする育て方に心が打たれます。私は音楽鑑賞に幼児も大人もないと思ってます。
いや、それどころか特に幼児期にバッハ、モーツアルト、シューベルトそしてベートーベンなど17~18世紀の「愛に満ちた音楽」を聴かせることこそ、その子の「感性を培う」上で親の大切な役目と考えてます。
時あたかも寒中の真っ最中。客は防寒具に身を包んでの鑑賞であったが、演奏が始まると楽員の熱気で寒さを忘れました。しかし、管楽器など気温に敏感な楽器はピッチが低くなりやすく、ガラス一枚のみのロビーでは、奏者にとって音程が下がらない工夫など困難であったでしょう。それでも演奏は室内全体によく響きわたり、とても充実してました。
指揮者の言によると、今回のテーマは「お客とのつながり」とのことで、驚いたことに、音楽会は先ず「みかぽ室内管弦楽団」伴奏による「ラジオ体操第一」に始まり、観客は全員立ち上がりラジオ体操を始めました。これには「びっくりポン」です。
音楽会で客全員がラジオ体操する光景を見たことがありません。これで、テーマである「客とのつながり」や「観客参加型」の音楽会は十分にその趣旨が汲みとれ、身体は温かくなって、観客の耳に演奏がすんなり入るようになったことは確かです。
実は、健康維持のため最近の私は毎朝6時30分のラジオ体操を習慣としてるので、今日は2回目のラジオ体操になりました。私たちは「健康に生きるため」や、音楽演奏においては心の明暗、テンポ感、リズム感とともに「瞬時の美に素早く反応する心身」は聴き手にとっても基盤であると考えられます。今回は、この奇抜なアイディアに意表を衝かれ、これにより一体感が生じ、会場は和やかな雰囲気になりました。
ただ、後方の客までマイクがよく通らなかったので、前面にプログラムの掲示があれば次に演奏する曲目が分かりやすかったと思います。
ところで、客は、指揮者がオーボエを演奏し始めたには驚いたようです。しかし、先日の第26回定期演奏会ではベートーベン第八、シベリウス第一で大活躍されたオーボエの洗練された音色は未だ、私の脳裏に焼き付いてます。
この曲にはバッハ音楽の真髄が感じ取れ、掛け合いになる対位法的な動き、バロック的で優美なハーモニーに、当時の室内楽曲の楽しみが垣間見られ、この作曲技法こそ当時の音楽家が目標とした「真の音楽美」だったのではないでしょうか。300年前の室内バロックの雰囲気にちょっと浸ることができ、カッキーラッキーでした。
一方、「参加型」がテーマである今回のミニコンサートは、客の希望者に「津軽海峡冬景色」などを歌ってもらいオケが伴奏するとは「ありそうでありえないこと」。いつもはオケがないので空オケです。歌った女性は本オケ伴で、きっと生涯の思い出になるでしょう。
楽器紹介も楽しく、クラリネットの「あさが来た」には殆どの方が親しみを感じたようです。私は月末に前橋でパーティーがあるので、これをヒントに戴き、ソプラノサックスで「あさが来た」全曲を吹く気持ちに固まりました。また、ファゴットの音色には一貫した重厚みが漂い、聴く人の心底に響いたようです。
今回も、企画がよく練られ、全体的に楽しく拝聴できましたが、私が最も感銘したのはアンコールで演奏された「G線上のアリア」です。正に、室内オーケストラのための曲であり、四声体の特色ある独立した動きが聞こえ、バッハの作品の中でも親しみやすさと共にバッハ音楽の真髄が内包されてる名曲であると、今回、みかぼ室内管弦楽団の演奏で改めて作品の崇高さに参りました。楽員の皆さん、寒い中、市民のために演奏され、心より感謝いたします。
【写真は明瞭でないので掲載させていただきました。】
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