横一線に飛び高度ある舎外をめざす・・・餌の工夫
レース鳩の能力は二面性から成り、一つは血統であり、生まれながらにして備わってる潜在能力で、もう一つは飼育者の調教により導き出される後天的な能力と考えられます。
血統については、長距離1000K系や中距離400~700K系であったり、これは導入によって決定されます。導入した血統自体は飼育者にどうにもできないことです。しかし、時には飼育者の予想以上に距離やスピードにおいて能力が現れることもあり、また、その逆もあります。
私たちが日々行う舎外運動の目標は方向判定能力を培うものではなく、体調を調整することであり、如何にしたら「最低でも1時間飛び」、「小さくなるほど高度を保ち」、「横一線になって競うような飛び方」、「遠征して暫く帰ってこない」、そして「舎外後すぐ入舎」です。舎外ではスピード感覚を磨くこともあります。
一方、調教がうまくいかないと、レース鳩はすぐに悪い癖がつく動物で、例えばあまり舎外せず、近くの電線に止まって休んでしまったり、鳩舎周囲をひらひら飛ぶ舎外など、飼育者の思いに反することが習慣化します。
おそらく、これは何らかの理由に因るのでしょう。言葉を話さない鳩であるから飼育者は全体的な動きを観察し、原因を見極め、手を打たなくてはなりません。
ところで、動物の調教はその殆どが「腹が空いてる状況」に始まることは確かでしょう。つまり、動物が人間の命令に従い行動するのは、犬の調教、猿の調教、イルカの調教、サーカスにおける猛獣の調教がその典型であり、レース鳩の調教は「高度ある長時間の舎外」、「スピード飛翔」、そして「入舎の素早さ」にあります。
前述の通り、鳩が舎外を早めに終え、近くの電線や近隣の屋根に止まるのは、おそらく「前日の餌が多過ぎたり、脂肪分が多過ぎたりで、空腹感がなく、身体が重くなったり、緊迫感の欠如、体調がよくない、また、何らかの理由で歯車が噛み合わない」と考えられます。
レース鳩の餌は【エネルギーがあって、軽く仕上がり、一定時間後、空腹感が生じる】工夫が必要ではないでしょうか。この空腹感が帰巣する意志を一層高める理由の一つと考えられます。
当舎では翌朝の空腹感を狙い、前日、午後の餌の時間を早めに与えたり、一方、餌で体重を軽くし、腸の調子を正常にするため、混合飼料に下の餌を混入してます。
平素の舎外をよく飛ばせるため混合飼料に大麦を3割、菜種を一握りの2種をプラスします。
大麦は消化器官の体調を整えると共に、脂肪分がないことから時間経過とともに空腹感が生じます。しかし、大麦は意外とエネルギーがあるようです。
この【感覚的に空腹感を生じさせること】及び、もみ殻がついてることが整腸に役立ち、元気なレース鳩飼育の極意につなげたいものです。
日々、レース鳩を観察すると、大麦を食することで意外と元気になることが認識できます。以前は、乳牛、肉牛、豚のため人為的に作られてるアッペン麦を使いましたが、現在は無垢の大麦に切り替えてます。
常に、栄養豊富な混合飼料のみでなく、内容や量は、その時々に相応し、帰還後、平素の舎外、レースモードにより、計画的な餌の切り替えは本格的なレース鳩調教師への一歩ではないでしょうか。
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