23才の「シンクロ号」逝く・・・人間なら110歳ほど
関東地方が梅雨明けした朝、種鳩鳩舎でシンクロ号の異変に気付きました。超高齢のため♂であっても♀鳩鳩舎で生活させてました。珍しく立たないで腹這いなので私は手にとって飲水器に近づけるとゴクゴク水を飲み大丈夫かなと思いました。その後、広い巣房に入れ一羽にしてましたが、2時間後に行くと目を閉じ、私が置いたままでの姿で大往生でした。
現実には多くのレース鳩が生後1~2年内に猛禽の餌食になる時代に、ずいぶん生き延びました。「シンクロ号」の特徴は肌触りの感触がきめ細かいシルクタッチでした。
この鳩について、20年ほど前、私は申し訳ないことをしてしまい今でも悔んでます。でも、その代わり、レース鳩としては日本一かもしれないほど超高齢まで私の鳩舎で生き延びたことで、その罪は補えたかなと思ってます。
「シンクロ号」はイヤリングで秋500Kまで飛翔し、翌春、100K~900Kまでレースに参加し、中距離で1回ほど入賞したことがありますが、今でも脳裏に焼き付いてることは距離930Kある北海道羽幌町からのチャンピオンレースです。
当地では翌日レースとなり、朝7時頃までは帰還してないことを確認し、トラップを開けたままにして私は当時の勤務校である県立前橋高校へ向かいました。この頃の記録機は手動のいわゆる鳩時計であり、鳩が帰還しても人間がいないと記録できない時計です。現在、使われてる自動入舎機は未だ普及してない頃です。
このため「シンクロ号」が帰還したとき私は留守中で、折角、北海道北部から海風吹く津軽海峡を自力で横断し、恐怖の中、一泊、どこかで仮眠し、翌日、群馬高崎の古巣へ帰還したのに主人がいません。故に帰還時刻が公式に記録されませんでした。
結局、私が学校から帰って来て記録したのは午後6時頃で、もしかすれば、午前中、早めに帰還してたこともありえた思うと、遠方からよく帰って来たシンクロ号に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。レース結果は連合会でも最下位ほどでしたが、900Kレースでは未帰還の鳩が多かったです。
ところで、ニュースによると偶然にも現役医師・日野原重明先生が超高齢105才で天寿を全うされました。全国を巡られ子供たちに「命の教育」をされたことに私は深く感銘してます。先生は「よど号」ハイジャックのとき客として搭乗されており、人質になってしまった方です。その体験から命は貰ったもの。今後の自らの命は「人のためになるよう生きる」とおっしゃってました。
その後、「シンクロ号」は種にし、近年では19才頃、ブラックサハリン号系と交配を試みましたが、血が入りません。その後、茨城の高塚鳩舎作「稚内ブルー号直仔」と交配したところ血が入り、2羽の雛が生まれましたが、驚くことに、鳩舎に大きなアオダイショウが入り、飲み込まれるという悲劇が起こりました。
このとき、私は鳩舎内でバタバタ鳩が音を立ててるので中に入ると、1.3mほどの蛇が外に出ようと頭をあちこちに揺らしてるのです。私はすぐに高枝バサミを思い出し、挟んで持ち上げようとしても長いアオダイショウは思ったより重くて持ち上がりません。結局、蓋付きのバケツを持ってきてやっとのことで捕らえ、烏川に運んで放しました。
このため、シンクロ号の直系は現在いないかもしれません。血を引いてる種鳩がいるかどうか作出原簿を調べてみます。
ところで、真夏の訓練は今春生まれの雛にとって重要です。「鉄は熱いうちに打て」はレース鳩の雛にとって当て嵌ります。過保護にし過ぎて訓練しないと良い先祖から受け継いでる帰巣本能が蘇り難くなると考えられます。
私が考える効果的な帰巣本能を陶冶する方法は最初の訓練で、涼しい早朝に5K~7Kほどを集団訓練し、5日ほどして次に15Kほどを集団訓練した頃です。今度は単羽訓練です。距離は5~7Kと少し戻り、一羽でなく2羽が適してます。時間はかかっても、姿が見えなくなってから次の2羽を放し、以下順に放します。楽しいので思ったほど時間はかかりません。
力のつく訓練にするには、常に行う集団訓練より遥かに実力がつくでしょう。猛禽出現の確率は同じです。本来の1羽で放す単羽訓練はもっと距離を伸ばした頃、狙った中距離レースや長距離レースの前です。このときは帰還コースを頭に入れ、それに近い見晴らしの良い「高い地点」から放鳩し、本来の1羽による単羽訓練です。これを狙ったレースの直前に2回します。
いよいよ本格的な夏の到来と同時に、レース鳩には身体のすべての羽が徐々に抜け換わる換羽という生理現象が11月頃まであります。このための栄養素は飼い主の力量です。動物調教は餌ですが、栄養不足でも栄養過多でもなりません。鉱物飼料は3種ほど混ぜるとバランスがいいです。
水浴は飼い主が面倒に感じない構造がポイントです。この時季の水浴は新しく生える羽の健康にとって、可能であれば回数を多くしたいものです。
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