シャクナゲを直射日光から守る白梅しだれ
植物にはそれぞれ自然に対する特性があり、シャクナゲは特に夏の直射日光を嫌います。葉が焦げてしまったり、5月の新緑の芽に直射日光が当たり続けると萎れてしまい、その後の生育に支障を来たします。
30年ほど前、私はこのような特質に無知であったことから、シャクナゲを日向に植えてしまったり、低い所に植えてしまったり、結果的に失敗に失敗をを重ね、大切なシャクナゲを枯らしました。
シャクナゲはこの他、鶏糞など強い肥料にも弱く、良いと思って行なったことが悪い結果となり、こちらの面でも、大切なシャクナゲを失う、苦い体験があります。
一方、シャクナゲは水はけの良い場所を好みます。しかし、それでも水を必要とします。この兼ね合いは良く観察してシャクナゲが現状で望んでいることを見抜きます。前者にたいしては盛り土して高い位置に植えると水はけが向上し、後者に対しては乾かないように時折、水遣りします。いくら水を与えても水はけがよければ問題ありません。
今では5種類のシャクナゲを生育し、そのうちの1本は数少ない貴重な日本シャクナゲで、品種名は筑紫といいます。この日本シャクナゲも2~3年前に調子が悪くなり、どうしたことかと思いましたが、それは今までの私の知識以外の災難に遭いました。
それは英語でいうroot competitionです。概してシャクナゲの根は丸く固まっており、四方八方に伸びて行きません。近くに他の植物があるとその根が侵入し、シャクナゲが養分を吸収できなくなり、開花しなくなります。これに対しては、大きな植木鉢に植え替えて、植木鉢ごと埋めました。結果的に、今春は見事に蕾がたくさん出ています。開花は4月中旬です。
今春はこの2倍以上に大きく成長し蕾をたくさんつけてます。この頭上に、しだれ梅が枝を広げ、夏の直射日光を遮り、逆に冬季、梅は落葉樹であるが故、シャクナゲに日光が当るようになります。このようにroot competitionも含めて、植物同士の共生がポイントになることも時間をかけて学びました。体験による学習ほど役に立つことはありません。
ところで、今年の梅はものの見事に開花してます。昨年夏の猛暑が良かったのでしょうか。あるいは適度な水分が適したのでしょうか。幹も蛇行し、樹木としてもよく成長してます。
植物の世界でも、このように異なる種類同士が地上で地下で競争し、自己の子孫のために根を張り巡らし、葉を広げ、光合成し栄養を吸収し合っています。そして、それぞれが個性ある花を見せます。
同様に、人類においても自国の利益を第一に優先するため、今回の米朝首脳会議の如く、いつになっても国と国は折り合いがつきません。この両国に限らず、近未来は各国とも高い見識をもった優秀な指導者の出現が望まれます。しかし、国によって指導者の選出法が異なります。未来にうまく調整がつけば、互いに共存できる世界になり、共に他所に利益を分配できる構造もある筈です。
このところ春雨が降り、梅の色彩は一層引き立ち、春の訪れを告げています。しだれ梅がシャクナゲを直射日光から守る如く、互いに助け合う国と国、個人と個人も、持ちつ持たれつつ、相互によい関係を築き上げたいものです。
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