望まれるスーパー堤防の建設
【噴煙たなびく浅間山2568m】・・・私のウォーキングコースより、昨日撮影・・・拡大して下さい。
「人間はしょせん、動物である」ことから自然災害や病には弱いものです。
写真の浅間山は天明三年(1783年)数日間にわたり大噴火し、今でも広範囲に及ぶ巨大な噴出岩石が当時の噴火のもの凄さを現代に伝え、その一帯は「鬼押し出し」と命名されてます。また、それより低い位置にある鎌原村では、噴火後238年経過した今でも村の殆どの民家と多数の人間が埋没したままです。古来より、大自然の脅威に人間は成す術がありません。
【鬼押し出園で数年前に撮影】
今般、連続して日本列島を襲った台風15号及び19号が齎した多大の農作物被害と、特に水害により多数の尊い人命が失われ、ご家族にとって愛する人を失った悲しみは、どれ程か察するに余りあります。
2011年3月11日の東北大震災の記憶から何年も経たないのに、またもや甚大な自然災害に日本列島は震えています。この強力台風は地球規模で進んでる気候変動によるものと考えられ、アメリカでのハリケーン同様に、昨今では国連でもその対策が大きく取り上げられてます。
人間は大自然の中に生き、その恩恵と宿命である脅威の中にあり、時に起る生命に対する危険な境遇に、その時代ごとに知能の粋を総動員して対処し、事前にこれに備えてきましたが、昨今の台風は巨大化、猛烈化し、現代に至っても古来同様、基本的に人類には成す術がありません。
この原因の一つは南米チリ沖の太平洋で起こるエルニーニョ現象といわれ、それは海水温の上昇であり、また、エル二ーナ現象による海水温の下降に起因し、結果的に、東南アジアの赤道付近の海水温が変化し、日本上空5000m付近を常に西から東へ吹いてる偏西風のコースを北へ押し上げたり、南へ押し下げたりし、結果的に日本列島は時に未曾有の大雪に見舞われたり、巨大台風の襲来という時代に突入してると考えられます。
【土手までいっぱいに水嵩が増した鏑川の河川敷】
今般の災害を見ると、未だ経験したことのない大雨による土手が崩壊し、河川の氾濫が起こり被害を大きくしました。
ところで、戦後、関東地方を襲ったカスリーン台風では私の住む群馬県でも592名の人命が失われ、関東一円では1100名が犠牲になったと記録されてます。その後、利根川の中流域では巨大なスーパー堤防の建設が進み、私は時々見学に行きますが、普通の堤防の三倍ほどの幅と高さの土手が河川の決壊を未然に防いでおり、今般も利根川の中流域ではそれほどの被害が報告されてません。
自然の脅威に、人間は知恵でしか対処する方法はありません。その対策の一つが、今までのような小さな堤防でなく、十分な幅と高さがあるスーパー堤防の建設です。
【群馬県・島村にある利根川のスーパー堤防】
最近、建設された土手は次第に強靭になってます。気候変動に伴い、子々孫々の安全のために千曲川はもちろん全国に建設したいスーパー堤防です。今後は、巨大な堤防に切り替えて行くべき時代です。人類が大自然の脅威に対抗するには「考え抜く知恵と実践力」以外に手段はありません。
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「天災は忘れた頃来る」
『文明が進めば進むほど自然災害の齎す損害は甚大を極める。
戦争は避けようと思えば人間の力で避けられなくはないだろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を阻止させるわけには行かない。その上、いついかなる程度の地震暴風津波洪水が来るか今のところ容易に予知することができない。最後通牒も何もなしに突然襲来するのである。それだから国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はないはずである。』(寺田寅彦「天災と国防 昭和9年)には考えさせられる。
自然の強敵から国民を守るために、国土強靭化のために、防衛予算より、防災予算を優先すべきだ。
投稿: 不肖の器 | 2019年10月28日 (月) 10時44分
不肖の器さんへ・・・世界文化遺産の一角に群馬・島村の大きな養蚕農家が指定されてます。ここは大学時代の私の師の生家です。ここは利根川を挟んで埼玉県側ですが、珍しく群馬県の飛び地であり、私は2度訪れました。
1度目は先生の父の葬儀であり、2度目は世界文化遺産に登録されてからです。庭で驚いたことがあります。それは井戸です。井戸を汲みあげるところがかなり高い位置にありました。理由は近くの利根川が江戸時代より何度も氾濫し、この家の所も濁流が来たと言われます。しかし、先人の知恵で井戸の汲み上げるところを高くしてあるため、汚水が井戸に侵入しない仕組みです。これも人間が生き延びるためや蚕産が継続できるための知恵でした。この家のすぐ後ろに、スーパー堤防が完成してます。
投稿: カッキー | 2019年10月28日 (月) 13時03分