大屋根に家紋と苗字が彫ってある家は今は少ない
両親が他界してから、かなり年月が経過してます。父は36年前に、母は31年前です。それどころではなく、一番上の姉が亡くなってから23年経過し、昨年は2番目の姉とただ一人の兄を続けて亡くし、その上、妻が他界してから16年が経ちます。
今の私があるのはこれらの家族のお陰です。しかし、人間の命とは、いつの日かこの世から姿を消すもので、二度と会えない不思議な運命を今まで多く体験してます。
一週間前にはこの上なく信頼しており、職業も含めて公私ともにお世話になった隣のTさんが逝き、また、人生途上で、誠に親しかった友人三人と永遠の別れを体験し、私としては今後、誰を心のよりどころとして生きていくべきか、この厳しい寂しい宿命をなかなか克服できそうにありません。
あるいは、このような悲しい体験を通して、遅まきながら人間は一人前になるのかもしれない。
両親が他界してから、妻と二人で今の家を新築しました。建築に当っては、たまたま、我が倉賀野町に知り合いで力のある大工さんがいました。このため、大きな建設会社に依頼するより、昔ながらの親方の下で叩きあげた彼なら建材の良さ、「本当の良い家とは」について、また、家が長持ちする構造を知っていると考え、彼に建築を依頼しました。
家を建てるにあたり、間取りはこちらで考えましたが、私が大工さんにお願いしたのは、土台を大きく頑丈に作ってほしいこと。柱は太いもの。そして屋根は日本瓦で、藤岡瓦の一級品を使ってほしいとお願いしました。
私たちは建築については素人であり、大工さんは建築の専門家なので、他のことは任せた方が結果的によくなると考えました。
例えば天井の高さ、壁の種類、強度を考慮した窓の大きさ、特に、ピアノの部屋は18畳と広いので、響のよいことだけお願いし、壁や床、天井の材質はお任せです。
お任せにした結果、柱はすべて節のないヒバを使用してくました。最も良かったのはロフトができたことです。これは屋根が大きいことから天井裏のスペースを利用し、恰も山小屋風です。見た目、家そのものは二階の和風住宅でも、ロフトがあると楽しいものです。群馬の有名な山々が窓から一望でき、浅間山、谷川岳、そして上毛三山が家に居ながら眺められます。
当時レース鳩を飼育するつもりであったので、大屋根に二羽の鳩の模型が並んでるのは私がお願いしましたが、大工さんにお任せコースでよかったことは、鬼瓦に私の苗字である柿沼と先祖から伝わる家紋が彫ってあることです。
家紋は「丸に蔓柏」です。カシワは次の葉が出るまで前の葉が落ちないので、世代が次から次へと伝わることを意味します。
依然として一人暮らしが続いていても、私は気に入った家に住み、これからの人生を豊かなものにして行く大きな夢は持ち続けています。
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