梅雨のレース鳩管理・・・雛の巣皿は朝夕2回清掃
これから1ヶ月ほどは梅雨本番であり、植物の成長にとってはこの上ない恵であるが、レース鳩にとっては、健康を害しやすい季節です。レース鳩が病気になる原因の多くがカビの生えた餌からと、汚れた飲水器と考えられ、購入時は良い餌であっても、保管場所が悪かったり、餌の保管容器がお粗末であると、餌は湿気を多く含み、害虫が湧くことになります。また、飲水器が不衛生になりやすく、時々は消毒すべきです。
このため、餌をよく吟味して購入し、また、乾燥したところに保管する必要があります。それであっても、季節的に湿気やすく、特にトウモロコシは「カビ」が生えやすいことから梅雨の晴れ間に天日干しが効果があります。
一方、鳩舎全体の床も湿りがちなことから、特に、雛のいる巣房内はもちろん、毎日、糞をきれいに取り除くことが基本で、梅雨の期間はいつもより丁寧に清掃を心がけ、雛のいる巣房は朝晩二回、巣皿をきれいにしてやり、可能であれば、予備の巣皿に交換するとよいです。
また、孵化後15日経過した頃からメッシュの巣皿に交換すると快適と考えられます。雛が生後7日以内に直にメッシュにすると、雛の踵がはまったままの状態で成長することがあり、抜けなくなります。直のメッシュは、雛がある程度成長してからが良いです。このような場合、動かない薄い敷物があれば心配いりません。
写真の雛は生後17日ほど経過してるので、直接、メッシュの巣皿でも寒くないでしょう。これなら床に置いたままの石膏の巣皿に比較し、湿気対策は格段の差で効果があります。メッシュは今後、発生する吸血虫をシャットアウトします。
一方、鳩舎内は種鳩鳩舎も選手鳩鳩舎も可能な限り、三方か四方に空気の流れが起こる窓が望ましく、また、空気の流れは横のみでなく上下にも対流するので、鳩舎全体を煙突のようにすると空気の流れが断然良くなると考えます。「鳩舎全体を煙突にしなさい。」とは昔、鳩界の達人に教わりました。
【 一階と二階の間にある空気流通口・・・糞は殆ど落下しない】
これは空気の上下の流れによる湿気対策、及び温度対策の一つの方法です。横の窓は開閉を調整できると夏季も冬季も快適です。
このように空気は東西、南北、及び上下に対流することから、前述の通り、可能であれば煙突をつけ、あるいは、高い位置に窓をつけ、温まった空気を外部に放出したいものです。イギリス鳩月刊誌Pictorialによると欧米の多く鳩舎には煙突があります。
ところで、群馬県では世界文化遺産になった「富岡製糸場」と「三つの絹遺産群」があり、以前の勤務地が「富岡製糸場」の近くであったことから、最近は「三つの遺産群」すべてを見学してきました。
共通することは空気流通による温度対策です。蚕とレース鳩は異なっても、同じ生物であることから新鮮な酸素の必要性、湿気対策、温度調整は共通でしょう。江戸末期から明治にかけ、養蚕の先達は「空気の流れ」の大切さを中心に生育してたことが理解できました。
たまたま、私の恩師の実家が世界文化遺産になり、下の写真は伊勢崎の「田島弥平旧宅」です。
これは田島弥平氏が考えた蚕生育法でここから暖かい空気を逃がし、裏に流れる利根川の川面を伝わって来た涼しい風を一階と二階から取り入れる構造です。利根川からの風が直接入るように家の向きを南東向きに作る拘りです。
【種鳩に稚内モザイクの直仔が増えたことから、選手にモザイクが多い】
春期レースが終了し、6月は愛鳩家にとって案外暇な時期であっても雨の日が多いため、窓から雨が吹き込まないように工夫するとよいでしょう。
健康で若さ溢れる当才レース鳩を育成するには「梅雨を如何に乗り切るか」が健康面で大切です。梅雨時は掃除を頑張り、鳩舎内を自然の力で乾かしてあげたいものです。
また、天気予報を注視し、梅雨の晴れ間にチャンスを作り、今春誕生した若鳩の近距離訓練を開始します。「鉄は熱いうちに打て」はレース鳩にも当てはまるでしょう。
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