カテゴリー「音楽教育」の17件の記事

2017年11月 6日 (月)

今年は一段と音質に磨きがかかった高商ブラス

P1020210【演奏会場の群馬音楽センター】

 群馬県立高崎商業高校は毎年ここで吹奏楽定期演奏会を開いてます。54年前の建設直後、こんな素晴らしい本格的なホールで定期演奏会を行うのかと当時の生徒たちは驚いたものです
 
 第一回から暫くは、個性溢れる顧問・波戸場先生の開拓精神により昼夜2回の定期演奏会がこの群馬音楽センターで行なわれました。以来、54回目を数える定演は当時と比較し、プログラム内容は格段に変化・向上し、これは時代の流れを感じさせるものです。
 
 その象徴は毎年、第三部に行われる華やかにして一糸乱れぬステージドリルです。自信を伴うきびきびした動きは観客を十分に惹きつけ、満員の会場を静まり返えしてます。正確にしてスピーディーな動きはまるで「天才たち」ではないかと感心させられます。
 
 長時間にわたる動きの中で、だれ一人つまづいたり、列を乱すものはなく、それはチューバなど重い楽器を持ちつつ、魅力ある音楽を奏でています。近年、西関東大会に13回出場は流石に只ならぬ実力であり、内容は複雑にして独創的なアイディアです。湧きいずる生徒さんの精神力と柔軟性に富んだ演技に、観客にとって、じっと固唾を飲んでる時間が続きます。
 
 顧問教師指導の下、これ程の演奏を聴き、定演までの準備や練習の積み重ねについては、私たちの想像を超える努力の日々であり、夏休みも土日もないことは明白です。広告取りから、プログラム作成、多くの部活がひしめく中、練習会場の確保、それも高校生としての一般の勉学を続けながらです。私はこのバランスを持った生き方が青春真っ只中では肝心と考えてます。
 
P1020212【入口に掲げられた看板】
 
 実は、定演の一週間前、私は高商を訪れ、校長先生にお会いし昭和時代に11年間、本校の吹奏楽部顧問であったことや、今回の定期演奏会に期待してることを申し上げました。その後、職員室で顧問のA先生にお会いし、定演の進捗状況を伺ってました。先生曰く、練習は未だあまり捗ってないと言われてました。でも、実際の定演は私の予想を超える充実した内容でした。
 
 ところで、高商ブラスの今後一層の飛躍を期して、今回の一部の演奏について感じたことを記します。
 
 音色については一部より、ステージドリルの三部の方が上回ってると感じます。三部は動きが伴うことから、音楽は二の次になると思われがちですが、三部の音質が優れていたのは、暗譜してるからでしょう。座奏は得てして音符を音に変換する作業に陥りやすく、暗譜は、音質について厳しく自己判断できる状態と思われます。本来、音楽とは目に見える音符とは縁のないもので、暗譜こそは、音の世界そのものだけになり、自ずと美的感性が生じます。
 
P1020220【お顔が鮮明に写ってないので掲載させていただきました。】
 
P1020221
 
 一方、三部の音質が上回った理由には、管楽器演奏は呼吸を伴うことから、座って演奏するより、立って演奏する方が腹式呼吸については、より深く呼吸ができるでしょう。私は時々パーティーでソプラノサックスを演奏します。一人で吹くこともあり、座って吹かないようにしてます。立って吹くと呼吸が深くなり、音が安定します。このことは多くの合唱団を見ても明らかです。
 
 今回、高商ブラスの三部において音質の向上が感じられたのは、おそらく前述の二点と共に、何より部員たちが持つ「美に対する感性」が研ぎ澄まされてるからでしょう。この感性は一朝一夕に身につくものでなく、美に反応する生活習慣や平素の幅広い芸術体験から習得できるものと考えます。
 
P1020223【プログラムの表紙】
 
 この三部の良さを分析し、上手くそれを一部に取り入れれば一部は今まで以上に美的に優れた演奏になると思います。二部は青春の特権で楽しみの極みでした。
 
 全体を通じて今回の演奏では木管群の音質にかなりの向上が見られ、特にフルート、オーボエ、クラリネット、サックスが目立ちました。フルートやアルトサックスのソロではビブラートを伴う演奏を心掛けると響きは断然違った魅力を生じるでしょう。
 
 アルメニアンダンスでは、OB・OGも演奏に加わり、懐かしい面々が見えます。変拍子の部分は中央アジアの民族舞踊なので可能であればもう少し快適なテンポの方が魅力が出ると感じます。しかし、流石に力強く、フィナーレは圧巻でした。中でもバストロの響きは会場に清々しく浸透し、観客の心底に響くに十分でした。
 
 ところで、定期演奏会では懐かしい校歌を聴きたい卒業生が多く来てます。最初か最後に演奏すれば高商の定演としてビシッと決まるのではないでしょうか。
 
 途中、一・二年生のみの演奏もありましたが、明るく一生懸命な伝統は引き継がれてる感じです。三年生は「部活に明け、部活に暮れる高商時代」でしたが、これだけ全身全霊で音楽に打ち込んだ三年間は誠に素晴らしい青春の生き方です。卒業後、どの進路に進んでも、今まで培った品格ある精神はどこかで必ず生きます。三年間、本当にお疲れ様でした。カッキーより
 

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2016年11月 4日 (金)

高崎商業高校吹奏楽部第53回定演演奏会・・・・・驚愕の暗譜力

P1010937 【群馬音楽センターへ入る観客】

 創部以来58年経過し、初代の波戸場先生から顧問は8代目となり、酒井会長率いるOBOG会員は800名になり、高商吹奏楽部は良き伝統の上に、脈々と新たな歴史を刻んでることを現役の生徒さんたちの演奏を通じて確認できました。

 この度、文化の日に相応しく、第53回高商吹奏楽部定期演奏会が群馬音楽センターで開かれました。最初の頃、定期演奏会は昼の部と夜の部が同日に二回行われてました。

 私は昭和時代に第15回~第25回まで11年間この定演を指揮する立場にあったことから、高商吹奏楽部には愛着と懐かしさがあり、今回、学校で行われた直前の練習会を一回見学し、そして、生徒さんたちの本番での溌剌とした演奏に期待と胸を膨らませ、ワクワクして音楽センターへ向かいました。驚くことに観客は超満員。私はやっと席に着くことができました。

P1010961 【第3部の世界旅行をイメージしたプログラム】

 本年より赴任された安斉先生がどんな指揮をされるか、指揮法に最も関心のある私は、先生の指揮ぶりを拝見し、一見して本格的に指揮法を勉強された先生であることが分かりました。それは的確な叩きであり、音楽への追求が十分に表現され、演奏する生徒さんにとって見やい指揮法と感じます。

 私の考えでは、教師は平素の音楽指導力が根幹であっても、一たび、指揮台に上がれば、それは「本格的な指揮者でなければならなぬ」ということです。

 プログラム1部は、コンクール課題曲、プッチーニのオペラの一部、そして先輩たちが演奏に加わったアルヴァーマ序曲などでしたが、プログラム構成に関して長い伝統とは異質な感があります。それは本格的なクラシカルの名曲が少ないことです。後ほど、スラブ行進曲とペールギュント組曲が聞えましたが断片的でした。

 最も肝心なことは、流行のみを追わず、二度とない多感な青春時代に「普遍的な音楽美に触れることこそ、芸術教育の極み」です。ですから、一部に大作曲家の作品を1~2曲組み入れることで生徒さんにとって定期演奏会がより充実し、心底から音楽美を追求し終えた実感につながると考えます。

 古典音楽の中にはオーケストラに限らず、吹奏楽でも十分効果的に演奏できる優れた楽曲はいくらでもあります。つまり管楽器が活躍する楽曲を選択することです。定期演奏会では一部、二部、三部の違いを明確にすると、よりメリハリが付くと考えます。

 一方、楽器の音色をより芸術的に高めるポイントは大きく二つあると思います。一つは「静かな場所で一人で自らの音色をよく聴き、遠くにまで魅力的に響く音」です。常に他の人と一緒の演奏のみはなりません。二つは「自分より上手な人やプロの音色を聴いて真似る」ことに尽きると思います。

P1010949 【お顔が明確でないので掲載させていただきました】

 ところで、二部は流石に若者による楽しさの極みです。部員にとってこの楽しさは生涯忘れることはないでしょう。これだけ変化に富んだ動きや衣装、何より迫力。そして会場との一体感、しかも、二部、三部はすべて暗譜という徹底した記憶力に脱帽です。

 練習場所確保の困難さ、限られた練習時間内での暗譜に心より敬服です。この努力と向上心、そして達成感は必ず将来への展望へつながり、社会へ出ても自らに自信が持て、力強く生きられるでしょう。演奏を聴いて、音楽とは人間の悲しみを表現できるもの、何より、これ以上ない楽しさをも表現できることを改めて学びます。

P1010951【三部マーチング】

 10年連続、群馬県代表として西関東へ出場という高商の部活の中でも、現在、ひときわ輝いてるパーフォーマンスは自信に満ち溢れています。それは全員が一ヶ所を見続けると思われる一糸乱れぬ統一感、見えない後方や、縦横に進むさまは考えられないほど難しい幾何学的交差です。

 それに加え、楽器を持つ角度の統一性、なかんずく迫力ある音楽を伴い、ある意味で人間にとって極めて難しいことはマーチングではないかと、改めて高商ブラスの力量を感じます。人間とは自信を持つと凄い力が出るもので、観客の心はステージにくぎ付けとなり驚愕の連続です。

 充実した定期演奏会を持って今回引退する三年生は多分、思い残すことはないでしょう。自らやれることの限界以上に努力しました。事前の準備の労苦は客には分かりません。自らひたすら努力し、客には最も良い部分のみを見せる姿勢は、今後、精神のあり方にいかに役立つか計り知れません。

 一方、年間行事では、社会の高齢化に目を向け、福祉施設への訪問演奏などは特筆すべき行事です。音楽が困ってる人、日々、寂しく暮らしてる人の心に勇気と感動を与えることができるなら、これに勝る素晴らしい文化活動はありません。

 三年生の皆さん、皆さんの演奏で私は一度は指揮してみたかったです。充実した3年間の部活動を心の財産とし、生涯にわたって芸術を愛好する高商の卒業生になってください。 

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2015年11月 5日 (木)

生涯、心に残るであろう高崎商業高校吹奏楽部・第52回定期演奏会

P1070512 【定演開幕時・・・写真はすべて鮮明でないので掲載しました】

 11月3日、文化の日に相応しく、群馬県立高崎商業高等学校吹奏楽部による第52回定期演奏会が開催され、昭和時代に11年間この部の顧問であった私は、若い生徒さん達の演奏を楽しみに群馬音楽センターに向かいました。

 どうしたことでしょう。会場入口に客は外まで長蛇の列を成しており、開演時間が迫る中、なかなかチケットが購入できず、やっとのことで館内に入りました。途端に昔のOB・OGが数人やって来て27年ぶりの懐かしい顔と再会なりました。

P1070511 【高崎市群馬音楽センター】

 演奏は三部構成で、一部の演奏は普遍的な吹奏楽の形態によるもの。日頃、私は音楽演奏で大切なことは「躍動的なテンポ感」「歯切れのよいリズム感」「重厚みある音色とハーモニー」が芸術音楽として、聴く人を感銘させる要素ではないかと感じてます。

 このうち「躍動的なテンポ感」は指揮者の感性によるものであり、こちらは本来ピアニストである顧問G先生の幅広い演奏体験から生み出された「快適なテンポ感」が会場に伝わり、観客は先生の清々しい指揮ぶりに感銘されてるようでした。

 「歯切れのよいリズム」については平素のきびきびした練習や、規則正しい生活習慣から生み出されるものであり、今回の演奏は演奏者全員による歯切れの良さが感じられましたが、パーカッション群全員の持ち味がいかんなく表現され、マリンバなど鍵盤楽器群及び、特にティンパニーの躍動感に満ちた演奏に深く感銘したのは私だけではないでしょう。

P1070528  「音色」については、音楽芸術の根幹であり、個々の演奏者の美的感性によるものです。これは個人の生来の音楽環境によると考えられ、音色の良さは言葉で表現できたり、一朝一夕に上達するものではないでしょう。これを会得するには、上手い演奏や、日々、クラシックの名曲を数多く聴く生活習慣を通じて培われるものと考えられます。

 私が「一部」で深く感銘したのは「レ・ミゼラプル」でした。特に木管高音部のオーボエ、クラリネット、フルートはもちろんサックス群やバス―ンなど木管群の「厚みのある音色とハーモニー」は圧巻で、これはきっと厳しい合奏練習、パート練習の賜と悟りました。

 一方、ティンパニーの揺るぎないリズム感に驚くと共に、ソロを受け持ったピッコロの気高い音色に品格が感じられました。

P1070522 【第2部は若者らしく、楽しさの極み】

 おそらく、夏休み以降2ヶ月という短期間に、中間テストや各種検定試験があり、また、プログラムの中に掲載されてる膨大な広告取りに時間を割かれ、練習時間が取れず、一方、部員数54名の大所帯では練習場所確保に苦労されたのではないかと推測します。

 その大変さを吹き飛ばす如く、「二部」では心から燃え、3年生から1年生まで、よくぞ楽しいステージを創り上げました。会場全体は楽しさの渦に巻き込まれ、効果的であったペンライトの配布、次から次へと独創的な振り付けは若者のみが創作できる特権でしょう。

 私は、そのステージ度胸に唖然とするほど魅入ってしまい、昔から変わらぬ高商生の逞しさとユーモアに満ち溢れた青春は、3年生にとって生涯忘れえぬ心の財産になるでしょう。

P1070523 【演技は一流と評価されてるマーチング】

 「三部」では、近年、ますます磨きがかかってる「高商マーキュリーズ」に見てる人は釘付けです。今年度、西関東マーチングコンテスト銀賞の腕は流石で、ウェストサイド物語など数々の名曲を演奏しながら、「複雑にして一糸乱れぬ機敏な動き」は観客を魅了するに十分で「大きな才能」としか言いようがありません。それと共に演奏者全員がとても表情豊かで、今後ますます磨きがかかると予感します。

 こんなに頭を駆使するステージはあまり類を見ないことでしょう。部員たちの「マーチングにかけた青春」が次から次へと光り輝き、観客にこれでもかと「躍動美を訴える気迫」が伝わってきます。

 この日は3年生にとって思い出深い3年間を締めくくるステージ、おそらく「生涯忘れぬ人生の歴史的一コマ」になるでしょう。今日の演奏会が、これからの長い人生において、何事も「目的に向かって仲間と力を合わせ、誠心誠意、努力する過程の大切さ」を体験されました。

 高商吹奏楽部の皆さん、三人の顧問教師指導のもと、Y部長を中心に誠に中身の濃い第52回定期演奏会になりました。ぜひ、生涯を通じて音楽を愛好する豊かな人になってください。観客の一人として定期演奏会が十分に楽しめました。感謝いたします。・・・・・・カッキーより 

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2013年11月 5日 (火)

高崎商業高校吹奏楽部を「先入法」で指揮       ・・・・・・第50回記念定期演奏会・・・・・・

P1020706 【高崎市・群馬音楽センター】

 昨日、このホールで群馬県立高崎商業高校吹奏楽部の第50回記念定期演奏会が開催され、昭和時代最後の11年間、この部活の顧問であったことから私にゲスト指揮者として依頼があり、一曲を指揮しました。

 曲はフィンランドの作曲家・シベリウス作曲「フィンランディア」です。フィンランディアとはフィンランドの国土という意味です。以前に勤務してた前高の創立記念式典でこの曲を指揮したことから、私としては取り組みやすい曲として、学校にこの曲を提案して実現しました。もちろん、演奏者である生徒さんが変わるので新たな発想、新たな創意工夫が求められます。

 純真な生徒さんを指導するには、発する言葉の一つ一つに間違いがないように、そして、奏者が表現しやすくなる効果的な指揮法に取り組む必要がありました。2学期の始業式後に始めた約2時間の練習回数は6回。これに当日のゲネプロを行い、本番のステージとなりました。

 ゲネプロで生徒さん達にお願いしたことはフレーズとフレーズの間に起こる「間」をいつもより長くすると伝えました。幸い「フィンランディア」では「間」の部分にティンパニーによるトレモロ(持続音)があることから、この緊迫感を十分味わい、改めて次のフレーズに進むよう少し待ちました。

 本番では序奏の金管コラールが伸び伸び奏で、金管楽器の輝きが十分に引き出せましたが、これは当時、隣国の占領下にあったフィンランド国民の苦痛や願い、そして、次第に希望へと近づく音楽表現であると思います。曲全体は7分ほどで、急緩の部分を対称的にしてテンポを決めました。

1453637_246540225501227_51795399_o ところで本題です。効果的なフレーズの出だし、時折、含まれる強烈なアクセント、並びに誇張したい音についての指揮法は通常に行なわれてる間接法では指揮者の気持ちを伝えるには十分ではないと感じます。

 この指揮法を改善するには小澤征爾氏の師匠である故・斉藤秀雄氏考案による「先入法」を使うと指揮者の気持ちが奏者に瞬時に伝わります。今回の演奏で私は先入法を10回ほど使いました。

 指揮法の基本的テクニックには、間接法と直接法があり、間接法とは予備運動として跳ね上がる点後運動と、その直後に下へ向かう点前運動があります。つまり1拍の中に上下する二つの運動があります。奏者はこの一連の動きを見て次の音の出る時間を推測できるのです。多くの吹奏楽では、また、アマチュアオーケストラでは間接運動のみで指揮される方が多いです。

 一方、先入法は直接法になります。これは予備運動として跳ね上げを行っても、瞬時に点の位置に指揮棒を移動します。点前運動はありません。つまり、指揮棒を半拍前に点の位置に持って行きます。そして、点後運動と同時に音が出ます。恰も、ニワトリが首を動かすようなものです。これを実行するには「跳ね上げ運動」つまり一拍前の点後運動を明確に行います。点後運動は奏者のプレスを意味することから、しっかり跳ね上げる必要があります。

 この動きをマスターすると今までの指揮法が一変します。先入法によって指揮の音楽表現に新たな引き出しができ、通り一遍を脱出した指揮法になる思います。

 指揮をする方は間接法から直接法である「先入法」を取り入れると「奏者の奏でる音楽と指揮者の動きに一体感が生じます。」 

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2013年9月16日 (月)

台風に負けず猛練習・・・高崎商業高校吹奏楽部

3873  大型台風の接近で暴風雨の中、高商吹奏楽部第50回記念定期演奏会の2回目の練習会に参加しました。午前中からの音だしは十分に音が出るか心配しましたが、熱帯で生まれた台風の接近は気温が下がらず、室内での管楽器や打楽器に支障はありませんでした。

 今回から練習会が一階の広い会議室で行われることから、生徒さんたちも解放感からか伸び伸びしてるように感じられます。数人のOB・OGが参加された合同演奏はやはり迫力が増します。

 OB・OGの皆さんは、それぞれ県内各地の市民団体で演奏されてるようで、昔とった杵柄という感じてなく、現役のプレイヤーと感じます。

 来る11月4日に群馬音楽センターで開かれる記念演奏会まで、あと1ヶ月半。現役の生徒さんとOB・OG、そして指揮を任された私も準備万端にしてステージに臨みたいと思ってます。

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 以前のブログで記述した通り、シべリウスの交響詩「フィンランディア」が作曲された1900年当時のフィンランドは、帝政ロシアの占領下にあり、国民は先の見えない厳しい生活に不安の日々であったと想像できます。

 一方、これは現在、日本が直面してる東日本大震災復興の遅れや、進展のない原発問題に相通ずるものでしょう。同時に、避難を余儀なくされてる多くの方々の過酷な状況、生まれ育った故郷を離れざるを得ないやり場のない気持ち、そして、不自由な生活を強いられ、辛い状況はその方々でないと分からないことです。

 しかし、先が見えなくとも国民は総力を上げ、いつの日にか避難生活が解除され、懐かしい我が家に帰れる日を、そして、原発問題が鎮静化するその日を皆持ってます。この曲には、そのような人間の渇望が感じられます。

P1040242  曲の冒頭はトロンボーンを軸とした嬰ハ短調から平行調のイ長調へ、荘厳なコラールは再度、ホルンへとバトンタッチし、今度はイ短調からハ短調へと目まぐるしく転調し、和声的展開を見せます。このコラールには理不尽な現実と、解決への祈りが同時に内包されてるように感じます。

 ところで、指揮をすることは「お巡りさんの手信号」に似ている面があり、それは奏者に各パッセージの音の出だしや終了、また、テンポを明示することが基本にあります。その上にあって曲想づくりになります。

 曲は全曲を通じて、苦悩~絶望~祈り~怒り~希望~戦いが繰り返され、終盤は我が祖国「おおスオミ」の旋律に導かれ、かつての平和な国土の旋律が曲を支配し、苦難~克服~歓喜へ至る輝かしい未来を予感させます。

P1030341 曲の進行が、厳しい現実から逃れず、次第に希望へと変化させる交響詩であることから、指揮についても、急緩、強弱、激しさ、静寂さ、そして愛国心など人間の希望を柔軟に表現できたらと思います。

 ゲネプロを含め限られた練習会はあと3回。その都度、生徒さんの音色の豊かさを重視し、晩秋のステージを迎えます。 

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2013年9月 3日 (火)

青春真っただ中、高崎商業高校吹奏楽部・・・・・・・第50回定演へ集中練習・・・・・・・

P1040210【初秋の赤城山・小沼】 

 本番11月4日、群馬音楽センターで行われる群馬県立高崎商業高校吹奏楽部の第50回記念演奏会の練習を行いました。昭和時代の最後11年間を同校で顧問をしていたことから、学校より私に指揮の依頼がありました。

 練習会場である高商音楽室は当時と全く変わらず、指揮をとる間に気持ちは36年前から25年前の若き日に戻れました。吹奏楽部部員は殆どが女子生徒です。本校は部活数が多いことから男子は運動部への所属が多いといわれます。

 暫くぶりの交響詩「フィンランディア」の指揮はつい頑張り、本当のところ、へとへとに疲れても、部員と共に名曲に取り組んだ時間はとても充実してました。

 以前に前高創立120周年記念式典の演奏で指揮したことのある「フィンランディア」も、音楽は生き物であることから、曲への取り組みは私も第一歩からです。

 この曲はフィンランドの作曲家シベリウス(1865~1957)のオーケストラ作品であり、元々、金管楽器と木管楽器、そしてティンパニーを中心とする打楽器群が活躍する楽曲であることから、オーボエ、フルート、クラリネット、アルトサックスなど高音木管群による丁寧な演奏を心掛ければ、当時のフィンランド国民のおかれた歴史的状況や、作品の持つ急緩の多様性は吹奏楽でも十分に対応できると思います。

800pxrepoveden_kansallispuisto_kesa 【フィンランド南部の光景・・・ウィキペディアより】

 曲はクレッシェンドを伴う荘厳なコラールに始まり、主旋律はトロンポーン群からフィンランドの雄大な風景を彷彿させるホルンの迫力に引き継がれ、和声はますます重厚味を増します。

 雄大な国土とは裏腹に、当時、この国が置かれた理不尽な状況からの脱皮を願う、あるいは、子供たちの輝く未来を希求するものであっても、通奏低音の如く、厳しい現実の中で生きる長年にわたる庶民の心境を表現してるものと感じます。

 一般的に、音楽とはテンポやリズムと言った時間の流れが感じられても、このコラールにはそれが感じられず、不穏な動きを内包しつつ、時間を忘れ、空間の中に漂う国民の叫びは木管楽器の祈りのような応答につながります。

 しかし、曲はますます暗雲が漂い、コントラバス、チューバ、ユーホォニューム、バズーン、バリトンサックスなど低音楽器による唸りは、恰も、ベートーベンの第9交響曲・第4楽章冒頭の重厚なレシタチーブを彷彿させるもの。それはどん底にある人間の会話の如く、高音部と低音部の「問い」と「応答」の繰りしであり、この曲の持つどこまでも辛くやり切れない表情が音楽の大きな特徴の一つといえます。その間、垣間見るオーボエ、フルートの音色の明るさに一筋の希望が漂います。

Dscf0086 【群馬音楽センター】

  http://www.youtube.com/watch?v=0sRepG15qMA

 曲は一転して雷鳴の如く鳴り響くティンパーニーのトレモノの連続の中、トランペットを核とする金管群の激しいリズムの連続とクラリネット群による対旋律の問答を、如何に対称的に演奏できるかがポイントと考えてます。

 そして、フィンランド第2の国歌とまで言われる「おお、スオミ」の旋律。祖国愛と祖国の自然美を讃える有名なメロディーには音階の「シ」が抜けてることが、この曲の一層の優美さに繋がってるのでしょう。

 2回演奏されるこの旋律を如何にして澄み切った音色で演奏出来るか、同時に、2回目はチューバ、コントラバスを中心とする低音楽器の対位旋律をいかに浮かび上がらせるかが、練習のポイントの一つです。「暗雲立ち込める時代から希望に満ちる明るい未来へ」を対比的に演奏できるよう心掛けたいものです。

 どの楽器にとっても、表舞台に立つチャンスがある「フィンランディア」は、特に平素は比較的裏方で縁の下の力持ち的存在である低音楽器群の持ち味を生かせる楽曲と感じています。

 高商ブラスの皆さんは、第50回記念定期演奏会に向け多くの曲の練習や、県代表してマーチングコンクールなど行事がいっぱいでも、「青春の真っただ中にあって、名曲に触れられる幸せ」を噛みしめつつ、群馬音楽センターでの発表に臨みましょう。カッキーも頑張ります。  

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2013年8月 8日 (木)

楽しみな「フィンランディア」の指揮・高商50回定演

P1020706_3 【群馬音楽センター】

 高崎市が誇る群馬音楽センターで開かれる記念演奏会に向けて8月から本番の11月4日まで、週に1~2回程度、シベリウス作曲・交響詩「フィンランディア」の練習があります。この名曲の持つ陰鬱にして祖国の平和を希求する当時のフィンランド国民の気持ちを、果たして充分に表現できるかどうか、本番までに漕ぎつけなくてはなりません。

 1900年当時のフィンランドはロシアの統治下にあり、ロシアから独立して自由を求める庶民の辛い時代です。日本も現在、北方領土問題で同じロシアに戦後68年経過しても四島が返還されてない共通点があります。

 厳しい現実に、理不尽な状態に諦めず、特に輝かしい未来ある子供たちにとって、希望に満ちた世の中になるよう、「辛い現状」と「輝く未来」の対比を明確に音楽表現するため、柔軟にして躍動的な指揮ができるよう、しっかり練習しなくてはなりません。

 この曲は以前に、群馬県立前橋高校創立120周年記念式典において指揮した思い入れの曲です。すでに15年ほど前のことであっても、当時、生徒、卒業生、保護者、県からの来賓など2000名ほどの観衆はよく聴いてくれました。私としても演奏は掲げた目標にほぼ辿りつけたという印象を持ちました。

 今回は群馬県立高崎商業高校第50回定期演奏会にゲストとして指揮を依頼されてます。第50回という節目の記念演奏会なので、昭和時代に11年間、吹奏楽部顧問として勤務していたことからお呼びがかかりました。

 私が顧問をして頃、群馬音楽センターでの高崎商業・定期演奏会は第15回~第25回だったので、現在の生徒さんたちが生まれる前のことです。というと、ずいぶん昔のように思われますが、実のところ、私は現在も結構若々しいです。やはり、音楽をしていることが幸いしてるかもしれません。

 昔、群馬大学の卒業演奏会において、モーツアルトの「魔笛序曲」を指揮し、指揮で身を立てようかと思ったこともありましたが、卒業と同時の就職はカルカッタ日本人学校に決まり、滞在中は教師としての合間を縫って、Bernard Jacob氏に師事し、指揮法を習ってました。彼はCalcutta Symphony Orchestraの指揮者でした。

P1040117_2【Bernard Jacob氏・彼の庭で】

 当時、彼はロンドンとカルカッタに住居を構え、カルカッタには定演のある秋から冬にかけての涼しい期間に滞在されました。私は指揮を教わる傍ら、音楽会に連れてっていただいたこともあります。

 http://www.youtube.com/watch?v=qRE6ychlM00#at=331

 高崎商業・吹奏楽部の皆さんは、マーチングなど行事が立て込んでいるでしょうが、第50回記念定期演奏会に向けて、お互いに心に響く演奏を目指し、本番まで心良い緊張感を名曲「フィンランディア」を通して体験しましょう。私も頑張ります。

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2013年4月 1日 (月)

中央中等教育学校オーケストラの序曲1812年 ・・・・・降雪の場面に感銘・・・・・

P1030550【Click please!】

 3月31日は「耳にいい」の語呂合わせから「オーケストラの日」。また、平成24年度の最後の日であり、学生にとって翌日から学年が進級する日で、社会人にとっても転出入があり、人それぞれが歴史の節目の日でもあります。

 演奏会場である群馬音楽センター前には、今まさに満開の桜花が今年度・最後の、また、5年生にとっては最終の中央中等オーケストラ演奏会を祝福しているように見えます。

 半年前からコントラバス奏者である部長さんと、オーボエ奏者である副部長さんから次回はボロディンの2番、及びチャイコフスキーの「1812年」を予定との知らせに、ロシア音楽に興味を持つ私の心はワクワクし始めました。

 ボロディンと言えば「中央アジアの平原にて」や「ダッタン人の踊り」がすぐ思い浮かぶメロディーでロシア五人組の一人。チャスコフスキーは「悲愴」や「白鳥の湖」で日本人に親しみやすい作曲家です。中央中等オケがこのような大作曲家の作品に発信的に挑戦する姿に、この学校の心の豊かさ、及び、芸術を愛好する人間教育を感じざるをえません。

 教育方針として、年2回の定期演奏会を無料にしている点に他校は見習うべきでしょう。コンクールで成績を上げるとチケットの値段を上げる学校もあり、どうしたことでしょう。教育とはかけ離れてます。これでは生徒は本来の音楽美の追求より、切符の販売ノルマに力を入れなければならない本末転倒があります。群馬県立中央中等教育学校は誠に卓越した教育的配慮がなされていると思います。

P1030552 【高崎市が音楽の街であるシンボル電話ボックス】

 演奏はまず、オーケストラの楽員100名の多さに、そして、本格的シンフォニックな響きに心を打たれました。この人数は平素の個人練習やパート別練習、そして全体合奏の場所にかなりの工夫が必要で、これは嬉しい悲鳴と想われます。

P1030554  今回の演奏について感想をすべてメモしました。拙いブログですが、馴染みの深い1812年を記します。

 会場が静まり返ったところでのロシア正教会聖歌を序奏とし、これを奏でるビオラ・チェロの重奏は、特に音程に難しさがあったことでしょうが、悲壮感漂うロシア的響きに集中していることが充分感じられ、この曲の持つ全体像を予言してました。これから戦争が始まるロシア国民の不安を暗示してるかのごとくに聴こえ、暗雲に包まれ当時のロシア国民の悲痛な覚悟が会場に漂い、素晴らしい序奏でした。嵐の前の緊迫と予断を許さない暗雲を醸し出しました。

 チャイコフスキーは1840年に生を受け、この曲は1880年頃の作曲と言われ、「年代的に1812年より68年後」ということになります。これは丁度、わが国が先の大戦から現在まで経過した年月に相当します。

 チャイコフスキー自身は1812年の戦争について、もちろん身に覚えがなく、私たちが近代日本史を学び68年前を知ったことと同じです。

 ところで、この曲においてナポレオン率いる数十万人のフランス軍は、ロシアへの侵攻を表わすのに「ラ・マルセイエーズ」のテーマのみを用いてます。一方、ロシア軍を表わすのに数々のロシア民謡を取り入れ、平和を取り戻したく往時を懐かしむもの、そしてロシア国民の現実に迫った悲壮感を表現してます。

 演奏では、哀愁味を主導するパーカッションの民族舞曲的リズムは大変に魅力がありました。これに乗りフルートやオーボエの悲痛にして時々ユーモアある表現、また、勝利寸前では昔の帝政ロシア国歌がチューバ・トロンボーン・低音弦楽器群で強力に奏されるなど描写表現は遺憾なく聴き手に伝わりました。

 チャイコフスキーがロシア人であることから曲の中では圧倒的にロシアの優勢が支配しており、もしかして現代フランス人でも、この音楽には多少の抵抗があるかも知れません。

 曲は急緩を交互に次第に盛り上がり、管楽器群と弦楽器群による壮絶な掛け合い、それは戦況有利な面と、時折、聞こえる不利に陥る面が交互に現れ、一進一退の移り変わりが上手く表現されてました。私の友人バトリック先生指揮のもと、両軍の描写がありありと瞼に浮かびました。

 特に、トランペット・ホルンによる「ラ・マルセイエーズの断片的テーマ」は力強いものから、敗戦的気運の濃い戦況まで明確に伝わり、対比が素晴らしいです。今回の演奏で、特に目立ったものとしてパーカッション群の的確なテンポと歯切れよいリズム、そして、低音トロンボーンのよく響き渡る音色に感銘です。それは全体を包み込む音色を奏し感銘しました。なかんずく、1st violinに代表される優美にして哀しい表情には中高生を超越してる演奏表現を感じました。

Dscf0085 【群馬音楽センター隣のSymphony Road】

 この曲の圧巻は後半にあり、それは平素、体験しない酷寒の地において、しかも食糧不足での戦いを強いられフランス軍が敗退を余儀なくされるところです。

 チャイコフスキーは、数十万のフランス軍兵士を困窮に追い込む場面で、もの凄い降雪を連想させる「連続的八分音符による下降音階」をこれでもかと繰り返す手法を用い、逆に酷寒を味方にするロシア軍を表現し、ついに圧勝を表わす帝政ロシア国歌と、国民の喜びを表わすロシア正教会の聖歌、そして教会の鐘を鳴り響かせました。

 中央中等オーケストラの演奏は自然の猛威を、3拍子の中にあって2拍子的な「連続八分音符の下降」をより効果的に奏し、観客の私たちまでを酷寒のロシアの降雪の中に佇む気持ちにさせました。最後に、大砲の音を応援団の大太鼓を交えたところに工夫があり、ロシアが勝利した歴史的1812年の音楽は終わりました。

 今回の定演を最後に5年生は引退と聞いていますが、本当にお疲れ様でした。オーケストラ部で名曲に取り組んだ数々の体験は、皆さんのこれからの精神生活に誠に貴重です。今後も、安易に流れない充実した人生を追求する人物へ邁進していくものと確信しています。

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2012年9月 2日 (日)

驚き!中央中等管弦楽部の「未完成交響曲」

P1020706  群馬県立中央中等教育学校・管弦楽部による第12回定期演奏会を拝聴し、県内の中・高校生の中でも高い芸術的な品格を備え、無限の可能性に挑戦できる環境にある生徒さんたちに涙しました。

 もし、生まれ変われることができるなら、中央中等オーケストラに入部したいと心底思いました。それは多感な青春時代に大作曲家の優れた作品に直接触れることのできる稀に見るチャンスがあるからです。

 彼らの未来は、生涯にわたり音楽芸術を愛好する豊かな生き方へと結びつくことでしょう。一般的には、中高校生時代にそのような環境に恵まれることはないものです。

 私が中央中等オーケストラに対して深く感銘するのは、取り組みについて「音楽が真似ごとでなく、本物である」点です。

 日頃、古今の名作に挑戦できる中・高校生の姿を見ることはほとんどありません。多くは、娯楽的要素に偏るものや、コンクールと称して他校に勝利することが目的になり、芸術本来の持つ無限の美への挑戦とはなり得ないものです。

P1020715 ところで、今回のプログラムも多岐にわたり、4月から短期のうちに、また、猛暑の夏休み返上しての集中練習には、指導者の先生とともに、それに応えて頑張った生徒さんに敬服いたします。

 特に難曲である「道化師」ではギャロップやエピローグを中心として、マリンバのハイレベルな実力、トランペットによる明瞭なテンポ感に会場が躍動感に包まれました。

 スメタナの「モルダウ」では弦楽器も、管楽器も、なかんずくバイオリン群の厚みある音色で奏でた短調の極みから一転して、長調での雄大にして華やかな表情への変化は超高校級に感じてなりませんでした。

 その間、流れるフルートやクラリネットにおける細かなパッセージの流麗さ、そして優れたテクニックが会場に伝わり、「音楽とは一瞬一瞬における美の連続である」ことを改めて認識できました。

 今回の定演ではたくさんのプログラムから、The sound of musicやSing Sing Singも楽しく聴けました。すべてについて感想をメモリましたが、代表してメイン曲「未完成交響曲」について拙い感想です。

 この曲が「なぜ未完成になったか」について司会者の方が少し述べられましたが、シューベルトがオーストリア音楽協会の名誉会員に推薦された返礼として書き始めたとも伝えられ、曲の途中までの楽譜を協会に送ったものの、生涯僅かに31才という短命のため、シューベルトの死後も楽譜が未完成のまま長期間、協会の書庫に眠り、死後、約40年ほどして発見され、日の目を見たと伝えられ、司会者の説明のように1・2楽章が余りにも良く出来てしまったので、流石のシューベルトも次の楽想へ発展しなかったのかもしれません。

 また、1楽章・2楽章ともに3拍子で作曲したために、本来、シンフォニーは3楽章が3拍子の形をとるので、この点からも次へ続かなかったとも推測できます。

 いずれにしても、この曲は「形式は未完成であっても、内容は十分に完成している」といえることから、今日、名曲中の名曲として残ってるのでしょう。

P1020708 ところで、1楽章の導入はコントラバス・チェロによる地底から響くような表現にまず圧倒されました。会場が静まり返った低音の出だしは、音程に神経を集中しなくてはなりません。40年振りに暗い書庫から日の目を見た神秘性は充分に会場に伝わりました。そしてバイオリン群の16分音符に先導されたオーボエ・クラリネットによる第1テーマは、特に繰り返した2回目が素晴らしかったです。

 それに続くホルン・ファゴットによるロングト―ン後のゆったりとした四重奏は、リタルダンドを伴って有名なハーモニーが見事に奏され、それに続く第二テーマはチェロにより伸び伸びとした幸福感漂う名旋律に繋がりました。

 1楽章における演奏の圧巻は、導入のテーマを用いた掛け合いの展開部にありました。これでもかと盛り上がる対位法的音楽の流れが、次第に頂点へと進むところに指揮者の先生の指揮振りが、より気高く表現され、そのタクトという筆に見事に応えている生徒さんのキャンパスは、トロンボーンの溌剌とした響きに代表され、私は背中がぞくぞくしました。美とは次第に精神が高揚する充実さにあるのでしょう。この楽章の頂点は対位法を伴う展開部にあり、演奏にとても感銘しました。

 2楽章はホルンとファゴットの魅力的な音色に誘導され、バイオリンによる束の間の天上の幸せから一瞬、不安感がよぎり、全体的に急緩による不安と安堵そして納得が交互に感じられ、明暗の対比が強弱をも伴って明確に表現されてました。

 それに続くクラリネットの悲壮感に対し、幾分か明るい兆しを呈示するオーボエの応答に安堵です。ここで聴き逃してはならないのが、この旋律を惹きたてるバイオリン、ビオラによるシンコペーションのリズムで豊かな音色に参りました。

 再度、今度は先にオーボエによる悲壮感漂う呈示があり、それに応答し、あたかも隙間から一筋の光が差し込むようなクラリネットの優しさに、これ以上の充実を求めない私がありました。

 今回、未完成交響曲を拝聴し、私たちは何事も満点を求め取り組みますが、その目標に挑戦することは大切であっても未完成交響曲のように「内容の充実さ」も人生において肝心であり、「いかに豊かな内容を持つか」が真の幸福につながるのではないかと悟りました。

 中央中等オーケストラ部の皆さん、オーケストラの織り成すハーモニーに心から堪能できました。国際色豊かで、人間味いっぱいの顧問の下、これからも本当の美を求めてください。お陰さまで楽しい時間が持てました。 

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2011年9月12日 (月)

悲劇的序曲からシンフォニー「春」へ挑む中央中等教育学校管弦楽部

Dscf0086  この建物は高崎市が誇る音楽の殿堂・「群馬音楽センター」です。かつて私もここでアルジェリア組曲の「フランス軍隊行進曲」を指揮したことがある思い出のホールです。

 演奏が行われた9月11日は東日本大震災から半年経過した日、しかも、ニューヨークの摩天楼を襲ったテロから10年目となる日です。天災とテロの違いはあるものの、3.11から半年、9.11から10年目と重なるのは無論偶然に過ぎない。

 この日を選んだかの如く中央中等オーケストラ第10回定期演奏会がここ群馬音楽センターで開かれました。 私は比較的前の席に座りました。それは演奏する生徒さんの真剣な表情や難曲に挑む精神が目に見えて伝わるからです。

 クラシック音楽は目先の楽しさにとどまらず、それを超越する旋律及び音色の美しさ、そして溶け合うハーモニーや、生き生きするテンポにリズム、とりわけ充実する精神の深さを追求する芸術なので、生徒さんの難曲に取り組む姿と、気高い精神を感じ取りたい気持ちがあります。

 大震災からの復旧、苦難から復興へ、そして春へと、プログラムが組み立ってることが分かります。

 演奏前に、犠牲となられた方々に対し、会場全体で黙祷をしたのは驚きであるとともに、中央中等教育学校の人間愛を主眼とする教育方針の深遠さに胸が熱くなりました。

 まず、外国人の先生指揮による「悲劇的序曲」で幕を開け、私の心は3.11や9.11に結びついてしまいました。1stバイオリンに導かれた二短調の響きは、これでもかと悲壮感が漂い、平素耳にするブラームスとどこか異なるのは、この曲に満ち溢れる憂鬱感の所以なのでしょう。

  続いてサンサーンスのアルジェリア組曲は、初めに地中海の大海原を感じさせます。ティンパニーに続くビオラの主題は会場によく響き渡り、それはリレーの如く次々とパートにバトンタッチしていきました。

 続いて弦のピチカートにとても異国情緒が感じられ、それはイスラム的な雰囲気を彷彿させるもの。加えてムーア人の風習までも予感させるフルートの音色は光り輝き、かなりの実力と察しました。弦による強烈な北アフリカ的リズムもこの曲の雰囲気を見事に醸し出しています。

 夕べの幻想では、ビオラの主旋律がどことなく異国的に響き、タンバリンのリズムに乗ったフルートはまたしても音色が魅力的、曲は緊迫感を増すアッチェルランド。土着の民族舞曲風に激しく終わりました。

http://www.youtube.com/embed/oYeIvGPJF7Y 

 私にとっても、フランス軍隊行進曲は懐かしい名曲。世界に誇るフランス・レププリケーヌ交響吹奏楽団にとってお得意のこのマーチは、オーケストラで聴いてもワクワクするものですね。欲を言えば中間部におけるトロンボーンの迫力がもっと出たら、この曲のダイナミックな楽しさが一味違ったかもしれない印象を持ちました。

 トランペット吹きの休日では、3人の音色と音量のバランスが良く、特に印象に残ったのはチェロを中心とする低音域のオブリガートが3本のトランペットの華麗さとは対称的な対旋律を奏で、滑らかに、しかも唸るようでとても惹かれました。音楽とはこのように主旋律と対旋律が絡み合うとワクワクしますね。校長先生による指揮とは、この演奏会を学校全体で成功させようとする証が伝わりました。

 シンコペーテッドについては、音色に魅力あるパーカッションが指揮に合わせると言うより、「自らテンポを先導する感じ」になれば、聴衆は、よりワクワクしたものになると感じましたが、全体的に楽しいの一言に尽きました。

 ところで、「春」と名のつく名曲はベートーベンのバイオリンソナタ「春」や、ヴィヴルディーの四季より「春」、瀧廉太郎の合唱組曲・四季から「春」などですが、この日のメインはシューマンのシンフォ二―第1番「春」です。春を題材とする音楽の中でも、とりわけ大曲に取り組まれ敬意を表します。

 この曲を通してコントラバスの響きは常に重厚なものとなり、それに乗ってバイオリンの高い演奏能力が一際目立ちました。同時にクラリネット、フルート、オーボエのハーモニーはよく溶け合い、音色が洗練されて優雅に聴こえました。

 一方、ホルンの二重奏はずいぶん練習した証でしょう。誠に調和し表情豊かに聴こえました。時々素敵な音色が響くバズーンは高音域も低音域も正しい音程が会場に伝わりました。

 夏休み返上で、とりわけ厳しい節電と猛暑の中での練習に耐え、この日を迎えられたことに頭が下がります。本当に頑張りました。

 素晴らしい顧問のご指導のもと、県内では稀に見る本格的な音楽演奏を求め、これからも充実した学生生活を送ってください。

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