日中は展望台で生活させる・・・レース鳩の馴致
一般的に、鳥類ではレース鳩だけが人間の作った小屋に馴れる習性を持ってます。舎外運動で1時間ほど大空を駆け巡った後に戻ったり、レースとして何百km~1000kmと考えられない遠方より鳩舎へ戻る神秘性を持ちます。
今春、誕生した雛が失踪なく鳩舎に馴れるには、遅くても生後27日~30日に、日中はずっと展望台の中で過ごさせ、第一に鳩舎周囲の景色を覚えさせ、大空に飛翔する他の鳥類を見せたり、また、自ら餌を啄ばんだり水を飲むことを覚えさせ、親からの自立を促します。太陽光が暑い場合は日陰に入れる構造にします。
一方、夜間は止まり木のある鳩舎内で休ませる「二面性の生活」が雛の馴致に必要でしょう。
この時期に飼育者がしてはならないことは、可能な限り雛をつかまないことです。鳩という動物は「人間に掴まれることを嫌います。」ましてや、雛を追い掛け回すことは最も慎まなくてはなりません。
こんなことから雛を掴むのは、早朝の薄暗い時間帯にして、それも飼い主は早業で掴むコツを習得しなくてはなりません。サッと掴んで展望台に入れるだけです。夕刻になったら雛は自ら鳩舎内に入れる構造にします。
雛には「落ち着いた生活をさせ、居心地の良さを感じさせる」ことです。驚かせることが最もいけないことで、最も安心できる「自分の居場所を確保」させることに主眼を置きます。
稚内モザイク号については、今年は2番仔まで雛を取る予定で、1番仔の2羽(写真下)は次世代の種にします。交配雌(2番仔を抱卵中)は「スチール号」の孫で香山鳩舎作です。同時にバルセロナ翔歴を持つ「デヨング89号」の孫です。
前回に記述しましたが、親鳩が雛に与える乳ビの栄養価を増すため、今年はサフラワ、菜種など栄養価の高い餌を混合飼料に混ぜて与えました。また、大腸壁に刺激を与えるためレンガを多めに含む鉱物飼料を与えたところ、比較的手持ちの良い雛になってます。来春はこの2羽から雛が生まれるので、レース鳩の世代交代は早いものです。
一般論として、選手鳩を作るには比較的若い種の仔が望ましく、それは健康体に生まれる確率が高いからです。レース鳩は高齢化が進むのが早いです。このため、毎年、安定した作出に繋がるよう次世代の1000K用の種づくりを考慮したいものです。
ところで、雛は展望台で5日~1週間ほど生活したら、曇りの日の午前中に餌は与えないで鳩舎の外へ出られるように扉や窓を開けます。カラスがいない時が良いです。決して大きな音をさせたり、その他、驚かしてはなりません。
一回外に出て鳩舎の屋根で少し遊んでから展望台に入ったらその日は成功とします。これを繰り返して鳩舎内で餌を食べさせれば馴致ができます。
近年は退職後にレース鳩飼育を始める方が多い半面、今まで活躍された方が体調を壊し飼育を断念せざるを得ない人も増えてます。レースマンはお互い「自らの循環器系や消化器系の健康維持を第一にし、レース成績は第二である。」の鉄則を守り、成績が良かった場合は日々への褒美と考え、レース鳩の趣味をいつまでも生涯の楽しみとして続けたいものです。
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