レース帰還後の1週間は回復に専念する
1月下旬になれば多くの地区で100キロ訓練が行なわれ、特に秋レースに参加してない若鳩にとっては初めて本格的な合同訓練、あるいはレースとなり、100Kが最初に通過すべき厳しい関門と考えられます。大羽数のコンテナに詰められただけでストレスになるでしょう。
季節は大寒の最中です。コンテナ内の冷たい金網の床に12時間も二本足で立ったまま、しかも、揺れ続くトラックで輸送され、鳩同士が接触し睡眠は皆無。そして、現地に到着し、日の出前は最低気温であり、折角、蓄積したエネルギーも寒さと揺れによる疲労で消費し、現地に着いてから放鳩までは充分に休息させる配慮が必要です。
放鳩地ではコンテナの飛び出し口をできるだけ帰還地方向に向け、放鳩のタイミングは太陽が昇りコンテナ内がある程度・暖まって、鳩の状態が上がってからとなり、それは鳴き声や活発な動きで判断できます。
放鳩場所は猛禽対策として、近くに山が迫ってなく、森や高い木々、送電塔がなく、その他・障害物がなく、見晴らしのきく平原がいいと考えられます。
しかし、放鳩場所を探すのは暗いうちに行ないます。場所が確定したら放鳩までエンジンを停止して待機します。運転手と放鳩者は暖房が使えず、これが辛いです。もちろん、大切なレーサーが有毒な排気ガスを吸わないためです。
放鳩のタイミングは日の出後30~40分以上経過して、太陽が地平線からかなり高くなり、【鳩が飛びたくて待ちきれない様子】がポイントでしょう。
帰還地の責任者に天候と予定時刻を連絡し、もう一度、猛禽の危険がないことを確認してからコンテナのハンドルを徐々に引きます。扉は少しずつ開け、前列にいた鳩が扉の網を登って飛び出すようにします。
一度にすべて開けると下から飛び出した鳩が上の鳩の風圧により地面に落ちるので、下の方を先に開け、その後、残りを開けます。このとき、羽の粉や埃が舞い上がるので放鳩者はマスクが要ります。
ところで、タイトルである帰還後の手当てについて、当日帰り、翌日帰り、短距離では3日目帰りもあり、【酷使した体力の回復に努め、回復から次第に次のレースに向けたコンディション作り】が飼育者の腕の見せどころと思ってます。
私のレース成績はあまり芳しくありませんが、昨春、モザイク号をもって稚内グランドを帰すことができたのは700K帰還後、持寄りまで一つの工夫をしました。
それはモザイク号♂【写真】がいつもいる止り木近くに分離式巣箱を取り付けました。
出来上がって私がそこを離れたら、モザイクはすぐに飛び込み気に入ったらしいです。こんなことから【レース鳩にとっては、いつもいる場所が大切】なのでしょう。
そして、持寄り日が抱卵10日目になるよう逆算した日に、お気に入りの♀を片方の部屋に入れてやりました。
このような長距離でなく、一般のレースでも【前のレースから次のレースまでの2週間の持っていき方】は、先ず、前レースで帰還後、呼吸器と腸内の殺菌が不可避と考えます。帰還時に普通の水は飲ませません。
【帰還したときから次のレースの調整が始まってます。】
コンテナ内は多くの鳩と嘴を通して接触し、中距離になれば宿泊を伴い、現地で餌と水が与えられます。
ややもすると、実際には上段から下段へ、水や溜まった糞、ゴミが落ちたりで、特に飲水が不衛生になりやすく、しかし、それを飲まざるをえません。
金曜持寄り、日曜放鳩の場合は36時間も閉じ込められ、最悪の場合、コンテナ内は病原菌の巣となる可能性が潜んでます。
こんなことから、レースや訓練から帰還したら、まず、疲労と病原菌を抜くことに専念してます。
1週目は筋肉疲労の回復や内臓の殺菌に専念し、夜間の寒さ対策、餌は軽いもの。疲労時に脂肪分は消化しにくいでしょう。
2週間目からは状態を上げます。水浴もポイントで鳩がしたがるときはもちろん、最近の私は試行的に持寄り日の午前中、温かければ行ない、体調をすっきりさせて持寄ります。次は150キロ。疲労回復後の策は練ってます。
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