高い位置に巣房を設置し帰巣本能を高める工夫
【稚内モザイク号がGNを記録した頃】
昨日は今春生まれた雛を種鳩鳩舎から選手鳩鳩舎へ移す前に、3時間ほどかけ選手鳩鳩舎の構造を従来と変える作業しました。果たしてレース鳩にとって巣房への愛着心が高まるでしょうか。
鳩舎改築のポイントとして、鳩舎内を通過する風向きは年間を通じ東西であることから、開け閉め調整可能な換気口にもしました。
長距離レースでは参加鳩が近い先祖から長距離血統を引いてることが第一であることは論を待ちません。しかし、如何にその血統を引きだすかは飼育者による高度ある舎外、個人訓練場所、レースに向けての餌の量、種類など与え方であり、日頃の工夫が大切であることはもちろんです。
【B室の天井近くに設置した巣房と換気窓】
それに加え私の考えでは、鳩舎構造が肝心であり、特に巣房がポイントと考えます。
鳩の帰巣性は、鳩舎に帰還するのでなく、その名の通り、巣房に帰還する習性を持つことから、普通の止まり木でなく、愛着が湧く、より安全な高い位置に自らの巣房を持ち、帰還日には巣房の中で交配鳩が待ってる構造であったり、自らの卵があること、あるいは孵化後4~5日程度の雛がいれば、参加鳩の帰巣本能が悉く刺激され、巣房に向かって飛翔する意志がより強固になると考えられます。
当舎は全体が東側を向いており、二階の選手鳩鳩舎は南側がA室、そして北側がB室として仕切り、出舎はA室から、入舎はB室からになります。部屋の広さはそれぞれ一坪半です。
住宅街なので、すべての鳩を一度に舎外できない環境にあり、また、鳩の習性として成鳩の♂♀いっしょに舎外すると舎外時間が短くなる傾向です。特に♀については♀だけで飛ばすとよく飛び遠征します。
このような利点もあって、舎外は♂♀別々に、時季によって成鳩と若鳩を別々に舎外します。成鳩の♀と若の組み合わせであれば、舎外は時間的によく飛ぶ傾向です。
ところで、今までB室の高い位置にあった止まり木(二つ上の写真)をA室の中段に設置し、今までの位置に巣房を取りつけました。(上から三番目の写真)中が網で仕切られる構造で、いわば、欧米で行われてるWシステム=Widowhood systemが可能であり、距離にかかわらず持寄り日はそれに近い方法ができます。
特に長距離レースでのポイントは、選手鳩鳩舎内に巣房があることが有利と言えます。これは血統以外の観点で基本と言えるでしょう。
選手鳩鳩舎の構造を変えるのはレース中はマイナスで、今の時季がチャンスです。今年は種の交配を3月下旬にし、1番仔が四月下旬の孵化であったことから、昨日、選手鳩鳩舎の構造を変える作業を行い、暗くなってから雛を掴んで籠に入れ、選手鳩の止まり木に1羽1羽入れてやりました。
そのまま、雛たちは日の出を迎え、落ち着いた様子です。舎内馴致を丸二日したら、いよいよ展望台で生活させ、周囲の景色を覚えさせたり、他の鳥類が飛ぶ姿など外界の様子を眺めさせます。
天窓を開ける【最初の出舎】ポイントは曇りの日です。快晴では飛び立ちます。また、空腹時です。動物の調教は「空腹と対極にある餌」です。これは鉄則です。
今回、A室B室ともに薄暗く、高い位置に巣房もあって、選手鳩がより落ち着ける構造になったと感じます。
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