カテゴリー「トキの野生化へ」の2件の記事

2012年4月26日 (木)

トキの野生復帰には天敵の駆除も不可欠

Photo 【最後の日本産トキ「キン」の剥製・・・Wikipediaより】

 特別天然記念物トキの卵が自然界で孵化したニュースに多くの方が感激されたことでしょう。将来の野生復帰に向け今回の孵化は大きな一歩と言えます。野生復帰は日本の悲願であり、長年にわたる関係者のご努力に敬意を表します。

 トキは江戸時代まで全国至る所に生息していたと伝えられ、明治~大正~昭和と次第に減り、佐渡島で捕獲された5羽のうち生き残っていた「キン」(写真)の死によって、日本産トキは平成15年に絶滅したことになります。

 今回、実に36年ぶりに自然界で孵化したことは将来の本格的な野生トキ復帰に大きな望みが生まれ、50年以上にわたり、レース鳩を飼育してる私はトキの自然復帰に非常に関心を持ってます。

 ところで、レース鳩の繁殖は「すべて人間の手によって雛が誕生します。」これがなければレース鳩も絶滅するでしょう。レース鳩が日本中で誕生する数は年間・数10万羽と推測され、現在、私の鳩舎内も幼稚園のように賑やかです。

 レース鳩とトキは異なっても、トキの繁殖は今後しばらくの期間、人の手助けが不可欠と考えられます。それは雛を狙うカラスや、成鳥に対する猛禽の襲撃が想像以上に激しいからです。

 タカ、ハヤブサ類は生きた肉を常食とする誠にどう猛な鳥類=birds of prey です。数の上ではそれにも増して、カラスはいろいろの雛を襲います。当然、トキの雛も狙われます。レース鳩の雛は鳩舎内で育雛されるのでその間は襲撃されることはなくても、自然界を飛翔するようになるとレース鳩の殆どは最終的に猛禽類の餌食になってると考えられます。

 D0307_l 【写真はJAXAより】

 トキは佐渡島で人工孵化=artificial incubationされ、多い時には100羽ほど飼育されてるといわれます。しかし、自然界は広大であり、近親による弊害をも考え合わせると、多くを放鳥しないと自然界での繁殖は難しいと思われます。

 年間100羽程度を放すことができれば野性化成功の確率はずっと高まるでしょう。中には本州へ渡るトキもあるといわれ、数多くを放鳥しないと自然界に存在するカラスや猛禽類の数に太刀打ちできないと考えらます。

 このように自然界では、雛はカラスに襲われ、親鳥は猛禽類に狙われることを考慮すると、残された方法は条例を改正し、佐渡島だけも猛禽類やカラス、テンなど天敵の駆除が不可欠と考えられます。生態系=ecosystemは数のバランスが崩れるとある種が絶滅する掟です。

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2010年6月 7日 (月)

来春は期待できるトキの野生繁殖と人間の心得

Nipponia_nippon  私が本物のトキを見たのは剥製ですが、群馬県立藤岡高校内でした。あるいは学校が創立した明治時代に群馬県にも生息してたのでしょうか。創立100年を超える伝統ある男子校でしたが、近年、藤岡女子高校と統合され、群馬県立藤岡中央高校になりました。

 果たして剥製のトキは現在でも保管されてるでしょうか。純日本種は一度絶滅し、貴重な鳥類で国の特別天然記念物になっており、藤岡中央高校で大切に保管されてることを祈ります。

 ところで、佐渡に生息してた野生のトキ数羽を捕獲以来、繁殖を試みたり、平成11年には中国より贈呈されたトキも佐渡トキ保護センター内で繁殖に成功し、最近は育ったトキが自然界に放されました。これはトキが佐渡に生息してたとき以来、27年ぶりと伝えられます。放されたうち数羽が新潟県でも目撃されたようです。

 現在、トキ保護センター内では多くの雛が誕生してると伝えられ、それらを広い順化ケージ内で自然に帰れる訓練をし、近年では網を開放して野性に戻す試みが実施されてます。

 関係者のご努力が実を結び、江戸時代のように自然界に飛翔するトキの雄姿を再現したいものです。

 しかしながら、今春は自然界で期待された雛の誕生はお預けのようです。同じ鳥類であるレース鳩を50年以上飼育してる私なりに、来年の自然下での繁殖成功を期して考えてみました。

 その第一は、鳥類は人間の予想を越えて聴覚や視覚に優れていることです。特に遠方に対しての動体視力に優れ、これは天敵の存在を察知するために進化したと考えられます。

 私が気づかない時でも、レース鳩は上空に天敵が飛来するとすぐ反応し見上げます。同時に仲間に対し危険信号の声を発します。それにつられて私が上空を見ると必ず鷹や隼らしきものが獲物を狙ってます。

 今春、自然界で確認された巣でトキが行った抱卵は4組のペアといわれます。しかし、なぜか孵化には至らなかったようです。

 しかし、諦めてはなりません。人間によって確認されてない個所で雛が誕生してる可能性は捨てきれません。この場合、人間が確認しなかったことが幸いしたと考えられます。

 私が最も危惧するのは「研究所やメディアなどが特ダネ情報を求め」巣を確認したり、抱卵状況をカメラに収めることです。テレビのニュースで報道されたり、新聞に写真が掲載されます。それを私たちは自宅にいながら見ることができても、このカメラを向けることは、人間が最も慎まなくてはならない行動と考えます。

 写真を撮る方は一流のプロであっても、トキから見れば人間に変わりなく、抱卵中は特に警戒心の強いトキの性質を認識できてるとは限りません。江戸時代から明治にかけてのトキの先祖はカメラに見られての抱卵や育雛を体験してない筈です。

 カメラがいけない理由は、大きめなレンズがトキにとっては猛禽類の目に類似していると考えられます。前述のように遠方に対する視力が抜群なことから、トキにとっては真っすぐこちらを見て焦点があってることを敏感に察知してると考えらます。

 来春3月から5月にかけては、カメラによる抱卵・育雛の実況中継を決して行わないことが自然繁殖成功への道と考え、巣に200mも近付いたら寄り過ぎです。200mは猛禽類にとって数秒以下の速さで接近できる距離です。雛が孵化して1ヶ月ほどすれば大丈夫であっても、それ以前は本能的に微妙な時期で、遠方からレンズを向けることはあってはなりません。

 他の対策としては行政によるカラスの駆除でしょう。カラスはレース鳩の雛に対しても、容赦なく襲撃を繰り返します。人間生活の豊かさに比例して増えたカラスは人間の出す生ゴミほどおいしいものはないでしょう。我々人間が日々の生活において、きめ細かな対策を行った暁にのみ、野性下でトキの雛の誕生が大いに期待できると考えます。自然に放したからには自然にしておくべきです。追跡行動はあってはなりません。

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