カテゴリー「先人の知恵」の2件の記事

2017年8月28日 (月)

今宵が本来の七夕・・・本日は旧暦七月七日です

Photo【夏の大三角】・・・Enlarge the photo please!

 八月下旬の夜八時から九時にかけ、夏の大三角にある織姫星がほぼ頭上に来てます。織姫星とは、こと座の一等星ベガです。このため七夕のことを英語でVega festivalといい、織姫星の位置は赤緯+38°47′にあり、日本ではちょうど仙台市の頭上を通過します。このため仙台市では七夕に力を入れてるのでしょう。
 
 一方、夏の大三角では天の川を跨いで対岸にある彦星【牽牛星】は、わし座のアルタイルという一等星で日本から見て遥か南に輝きます。この星の位置は赤緯+8°52′なので、フィリピンのミンダナオ島上空からスリランカ頭上を通過します。
 
 この他、夏の大三角には白鳥座のデネブという星があり、この三つの一等星で大きな三角形を成します。デネブは七夕とは直接関係がありませんが、真夏から初秋にかけ日本のほぼ頭上に大きく羽ばたく白鳥座の頭に相当する一等星です。デネブの位置は赤緯45°で日本の最北端・稚内市の頭上を一日一回通過します。
 
 これら大三角を成す三つの星は日本では夏を代表する星で位置的に見つけやすく、季節が逆のニュージーランドやオーストラリアでも、かなり北であっても日本と同時にこの星たちを見ることができます。
 
 同様に、経度の相違が60°以内であれば、例えば中央アジア諸国や、チベット、モンゴル、インドなどでは、その国にいる人と日本にいる人が同時に夏の大三角を見ることができます。もし、これが男女間であれば異国にいながら同時に同じ星を見ることになり、大変ロマンチックなことです。
 
Photo_3【月齢七・・・本日8月28日の月の形】
 
 一方、地球から約38万Kmの距離を保ちつつ、北極星側から見て地球の周りを反時計回りに約1ヶ月かかって公転する月は、太陽の周りを公転してる地球【公転速度約29㎞】の外側に出たときスピードを増し、地球から見て表面に太陽光があたる面積が広くなります。反対に地球より内側にあるときはスピードが減速し、太陽光が当たる面積は地球から見て少なくなります。
 
 これを元にした暦が大昔より明治五年まで使われてた太陽太陰暦で、日にちと月の形が一致します。つまり、新月は1日で、三ヶ月が出れば3日、満月ならば15日です。このため七日目の月であれば7日です。
 
 この七日目の月こそ地球の自転により、西に傾けば傾くほどお椀の舟の形になり、彦星が織姫星に会うため天の川を渡る舟になります。この光景は1年に一度だけでの貴重な晩のみであり、彦星、織姫星、そして7ヶ目の月による三者は立秋が過ぎた夜空をキャンパスとし、理想的な配置に並びます。
 
 ところで、この三者は地上から見るとロマンチックに見えても、実際は考えられないほど遠方にあります。ベガは25光年、アルタイルは16光年、月については前述の通り、地球を9回半転がした距離に等しい約38万㎞という二つの星とは比較にならない近くにあります。
 
 源氏物語にも登場する七夕の光景を、1000年経過した平成の現代になっても変わらぬ庶民の願いを叶えるかの如く存在する機織り名人織姫星~天の川~牛使いの若者・彦星~月齢7の月を、太陽暦8月28日【2017年の場合】の晩に虫の音に囲まれつつ地上より眺め、混迷した現代の国際情勢から一時的にでも逃れ、大宇宙のロマンに浸りたものです。大陸間弾道ミサイルなど絶対に飛んで来てはなりません。人類の知恵で止めさせましょう。
 

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2016年10月28日 (金)

先人の知恵を今に伝えるサイフォン式灌漑

P1010669【鏑川・山名町にある中村堰】

 年齢を重ねてからの健康維持や体力増進法は、心臓への負荷が少ないウォーキングが適してると考え、週2回ほどここ鏑川の土手を往復4kほど歩いてます。ここは景色がよく、危険がなく、空気がよい理想的なウォーキングコースです。すでに1年前から私のお気に入りコースになってます。折り返し地点ではご覧のように川幅が100mほどの「中村堰」があり、対岸には藤岡市方面へ灌漑用に水を引く取水口があります。

P1010783 【土手の上は私のお気に入りウォーキングコース】

 ここ鏑川は、もうすぐシベリア方面からコハクチョウが羽を休めに来るサンクチャリーです。私は景色のよい土手をすでに100往復ほど歩いてます。

P1010886 【対岸にある水門は鏑川の水を調節し、右隣は取水口】

 ウォーキング中、対岸にある水門や取水口をいつかは見学しようと思い、先日、詳しく下流まで見て回りました。実はこの鏑川へはここから200メートル下流に南から流れ来る鮎川が合流してます。

 ところで、中村堰の始まりは400年ほど昔に遡る江戸時代初期と伝えられ、大水が出るたびに、おそらく石を積んだ簡素な堰は流され、田畑に水が必要な農民にとっては、その度ごとに作り直す苦労があったようです。

 しかし、最大の難題はこんなことでなく、ここから水を引いて200m下流である前述の鮎川が日野方面から流れてることです。鮎川は一級河川です。

 中村堰から引いた水を4Kほど先の藤岡北部まで通すには、この鮎川を通過させなければならず、ここに「先達の知恵」が生まれました。それは、この界隈の住職が考えついたといわれる「鮎川の下を潜らせるサイフォン式トンネル」です。彼の頭脳がこの難題を解決し、中村堰からの水は鮎川の下に作ったトンネルを通過し、藤岡北部へ流れるようになったのです。

P1010923【私が描いたサイフォン式トンネルの略図】

 江戸時代には井戸掘り職人がたくさんいたことから、おそらく彼らを総動員して川の下を横から掘り進んだのでしょう。農民の渇望と住職の知恵、そして井戸掘り職人による連携プレーで鮎川の下に水を横断させる灌漑が完成しました。

 それにしても、このサイフォン式を考え出した知恵は卓越しており、物理の原理を応用してます。中村堰【上図では左側】から流れてきた水が鮎川の下のトンネル内で満水になると、一方の出口から自然と溢れだし、藤岡方面に流れていく仕組みです。トンネルの距離は推定150mほどです。

 江戸時代の構造が現在でも継続されてます。しかし、当時と異なり、今ではしっかり工事が施工され、私はすべてカメラに収めてきました。

P1010916 【中村堰からサイフォンに向かう水の流れ】

 水がたくさん流れても大丈夫のように深くなってます。ここから水はサイフォン入口に向かいます。

P1010919 【サイフォン入り口】

 ここで水は鮎川の底にあるトンネルに流れ込み、対岸の下まで流れ、サイフォンであるトンネル内が満水になると対岸の出口から溢れ出す仕組みです。鏑川は水量が多いことから、おそらくトンネル内は常時、満水と考えられ、見学した日も対岸の出水口からどんどん水が出ていました。

P1010920 【日野方面から流れる鮎川の流れ】

 現在の鮎川の水量は少なくとも、季節によっては大量に流れる一級河川です。この下を中村堰からの水が昔から横断してる。

P1010902 【藤岡市側の出水口】

 鮎川の下を横断した水は藤岡市側に流れ出てます。現在、サイフォン内を見ることは不可能ですが、頑丈なコンクリート製と考えられ、将来もずっと大切な役目を果たし続けるでしょう。

 それにしても、昔から自然と闘ってきた人間の知恵は、正に考える葦であり、先人の悩みとそれに打ち勝った人間の頭脳が偲ばれます。

 ところで、下流へ足を運ぶと、またもや今度は農民と農民との平等を考えた分水の堰が現れました。

P1010911_2

 おそらく昔からここで各田んぼへ公平に分水したのでしょう。現在は立派な分水の堰が完成し、水は各方面へ分かれて行きます。

P1010909

 今回、ウォーキングが元になり、偶然にも先人の灌漑を求める苦労と知恵を偲ぶことができ、「人間とは何か」について考えることができました。現在に生きる私たちも、すべてはより良い「人間的な暮らし」を求めています。頭を働かせることが「自らの生きる道」と悟ります。

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