どの分野でも一流の人と接すると本質に近づける
私は高校に入ってからサックスを吹き始めましたが、あくまで部活動として、つまり趣味として演奏してました。ですから、高校卒業後は就職するつもりでした。
しかし、高校時代に今は亡き恩師から音大に行きなさいと強引に勧められても、当時、そのような進路は私も両親も全く考えてなかったです。結局、この先生の強引さにより、私の人生は結果的に高校音楽教師を職業とすることになり、今となっては先生に心底より感謝に他なりません。「親孝行したいときに親はなし」ですが、この恩師に対しても同様の気持ちであることを今、改めて思います。
一方、6人兄弟の末に生まれた私は姉が多かったことから、実家で私が親と住むことが必然となり、地元の大学に入学しました。
当時、クラシックサックス界での第一人者・阪口新先生に高校時代~大学時代にサックスを直接教えを受けたことは、私にとっては有り余ることで、この楽器の音色の素晴らしさは知っても、あまり上達しなかったことが申し訳なかったです。
しかし、私が高校音楽教師として就職してからも、阪口先生は時々連絡を下さり、「今度アメリカから、ホーリック氏が来るから聴きに来なさい。」また、「日本サクソフォーン協会に入会しなさい。」、「今度東京で演奏するので聴きに来て下さい。」など色々アドバイスを戴き、私が最初の就職でインドへ行くときも、音大の管楽器卒業生は幾人も就職できないでいます。君は海外で就職できて良かったですね。当日は「仕事の関係で空港まで見送りに行けないが、頑張るように」と励ましを戴きました。
私が阪口先生に長いことサックスを習って最も指導を受けたことは、呼吸法と音程です。ピアノと異なり、腹式呼吸で空気をマウスピースに入れなくてはなりません。しかも、音程は自ら良く聴いて身につけるものです。特にサクソフォーンは音程が狂いやすく「正しい音程を身につけることが基本である」とのことが、最も耳に残ってます。
阪口先生の音質はレコードで聴く世界一のサクソフォーン奏者マルセル・ミュールのような音色です。ミュール氏とはずいぶん親交が深かったようです。お陰で、私も公立高校教員採用試験ではグラズノフ作曲サクソフォーンコンチェルトを演奏し、採用となりました。
そして何より、長い人生に亘り、音楽会のみならず、結婚式、パーティー、葬儀などでサックスを演奏することが多く、今では豊かな音色を持つサクソフォーンのある生活をとれほど満喫してるか計りしれません。
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